スーパーの精肉コーナーで「ふりそで」という見慣れない鶏肉の部位を見かけたことはありませんか。
「希少部位」と書かれているのに、驚くほど手頃な価格で売られていて、不思議に思った方もいるかもしれません。
「安いのは美味しくないから?」「どんな味で、どうやって食べたらいいの?」と、その安さゆえに購入をためらってしまうこともあるでしょう。
この記事では、そんな鶏肉「ふりそで(肩肉)」が安い理由から、品質や味の真相、そしてその魅力を最大限に引き出す美味しい食べ方のレシピまで、あなたの疑問を一つひとつ丁寧に解説していきます。
この記事を読み終える頃には、ふりそでが驚くほどコスパに優れた食材であることが分かり、きっと試してみたくなるはずです。
結論:鶏肉「ふりそで」が希少部位なのに安い3つの理由

鶏肉の「ふりそで」は、一羽からわずかしか取れない「希少部位」でありながら、スーパーでは手頃な価格で販売されています。
その背景には、品質の問題ではなく、市場における需要と供給のバランスが大きく関係しています。
ここでは、その3つの主な理由を解説します。
理由①:もも肉や胸肉に人気が集中し、需要が比較的少ないから
ふりそでが安い最大の理由は、日本の食卓で圧倒的な人気を誇る「もも肉」や「胸肉」に需要が集中し、ふりそでを選ぶ消費者が相対的に少ないからです。
多くの人は鶏肉を買う際、慣れ親しんだ定番部位を指名買いする傾向にあります。
ふりそではまだ知名度が低く、積極的に選ばれる機会が少ないため、需要が限られてしまうのです。
その結果、人気部位に比べて価格を抑えなければ売れ残ってしまうため、安価に設定されやすくなります。
理由②:一羽から取れる量は少ないが、鶏全体の流通量が多く供給は安定しているから
ふりそでは、鶏一羽から30g~60gほどしか取れない貴重な部位ですが、価格が高騰しないのは、鶏肉全体の生産量と流通量が非常に多いからです。
日本の養鶏産業は効率化が進んでおり、毎日大量の鶏が処理・出荷されています。
そのため、一羽あたりの量は微量でも、市場全体で見ればかなりの量がコンスタントに供給されることになります。
需要が供給を大きく上回らない限り、希少部位であっても価格は安定し、消費者は手頃な価格で購入できるのです。
理由③:需要と供給のバランスから、スーパーでお手頃価格になりやすいから
最終的に、これまでの2つの理由が組み合わさることで、ふりそではスーパーでお手頃な価格で販売されるという状況が生まれます。
つまり、「需要は高くないが、供給は安定している」という市場の原理に基づいた価格設定がされているのです。
品質が悪いから安いわけでは決してなく、むしろ「知る人ぞ知る、コストパフォーマンスに優れた美味しい部位」と言えるでしょう。
安いのは「まずい」から?品質や味に関するウワサを徹底解明

「これだけ安いのは、美味しくないからでは?」という疑問は当然です。
インターネット上でも「ふりそで まずい」といった声が稀に見られますが、その真相を探ってみましょう。
「ふりそでがまずい」と感じる人のリアルな口コミ・評判
一部で「まずい」という評価があるのは事実ですが、その内容は部位そのものの味を否定するものではなく、商品の状態や調理法に原因があるケースがほとんどです。
具体的には、「ドリップが多くて臭みがあった」「血合いのような部分が気になった」「思ったより脂っこくて重かった」といった声が見受けられます。
これらは、適切な下処理や調理の工夫によって十分に解決できる問題です。
まずいと言われる原因は部位でなく「血合い」や「ドリップ」の可能性
「まずい」と感じる最も大きな原因は、肉に残った「血合い」や、鮮度が落ちた際に流出する「ドリップ(肉汁)」による臭みである可能性が高いです。
ふりそでは骨に近い部位であるため、処理の過程で血合いが残りやすいことがあります。
また、ドリップは肉の旨み成分であると同時に、放置すると雑菌が繁殖し、不快な臭みの原因となります。
これらはふりそでに特有の問題ではなく、あらゆる種類の食肉で起こりうる現象です。
【解決策】臭みを消して美味しくする簡単な下処理方法
購入したふりそでを美味しくいただくためには、調理前の簡単な下処理が非常に効果的です。
まず、パックから取り出した肉の表面についている水分(ドリップ)を、キッチンペーパーで優しく押さえるようにして、徹底的に拭き取ってください。
もし気になる血合いがあれば、包丁の先端などを使って丁寧に取り除きましょう。
その後、ボウルに移し、少量の料理酒や塩を振りかけて軽く揉みこみます。
数分置いて再び出てきた水分を拭き取ることで、臭みは格段に抑えられ、仕上がりの味が劇的に向上します。
結論:「まずい」は誤解!調理次第で絶品になるコスパ最強部位
以上のことから、「ふりそでがまずい」というのは大きな誤解であり、部位のポテンシャルを理解し、適切な下処理と調理を行えば、もも肉や胸肉にも劣らない絶品の料理に仕上がることが分かります。
安価でありながら高い満足度を得られる、まさにコストパフォーマンス最強の部位です。
先入観を捨てて、ぜひ一度その美味しさを体験してみてください。
そもそも「ふりそで(鶏肩肉)」とは?特徴を分かりやすく解説

ふりそでの魅力を知るために、まずはこの部位がどのようなものなのか、基本的な特徴を理解しておきましょう。
鶏のどの部分?翼の付け根にある肩のお肉
ふりそでとは、鶏の胸肉と手羽元の間にある、翼の付け根部分の肉を指します。
ちょうど人間の「肩」にあたる部位であることから、「鶏肩肉」とも呼ばれます。
他にも「鶏トロ」や「肩小肉」といった名称で販売されていることもあります。
焼き鳥店では「ふりそで」という雅な名前で親しまれている人気の串です。
食感と味は?もも肉のジューシーさと胸肉のあっさり感の「いいとこ取り」
ふりそでの最大の魅力は、その絶妙なバランスにあります。
食感と味わいは、ジューシーな「もも肉」と、淡白でヘルシーな「胸肉」の、まさに「いいとこ取り」と表現されることが多いです。
適度な脂肪分を含んでいるため、加熱してもパサつかず、プリプリとした弾力のある食感が楽しめます。
それでいてもも肉ほど脂っこくないため、しつこさがなく、さっぱりと食べられるのが特徴です。
なぜ希少部位なの?鶏一羽からごく僅かしか取れないから
ふりそでが「希少部位」と呼ばれる理由は、一羽の鶏から取れる量が非常に少ないためです。
大きな塊として取れるもも肉や胸肉とは異なり、ふりそでは一羽あたりわずか30g~60g程度しか取ることができません。
この希少性が、「知る人ぞ知る」という特別感と価値を生み出しています。
【人気レシピ厳選】ふりそでの魅力を引き出す美味しい食べ方

ふりそでは、そのバランスの取れた肉質から、焼く・揚げる・煮るなど、様々な調理法で美味しく食べることができます。
ここでは、特におすすめの人気レシピを厳選してご紹介します。
定番の唐揚げ|ジューシーだけど重すぎない絶品レシピ
ふりそでを使った唐揚げは、もも肉のようなジューシーさを感じさせつつ、後味はさっぱりとしていて重くありません。
下味(醤油、酒、おろしにんにく・しょうが)を揉みこんで10分ほど置きます。
揚げる直前に片栗粉と薄力粉を混ぜた衣をまんべんなく付け、170℃の油で4~5分、カリッときつね色になるまで揚げれば完成です。
いくつでも食べられてしまう、まさに絶品の唐揚げになります。
シンプルな塩焼き・グリル|素材の旨みをダイレクトに味わう
ふりそで本来の美味しさを最もシンプルに味わうなら、塩焼きやグリルが最適です。
フライパンや魚焼きグリルを使い、皮目からじっくりと焼いていくのがポイントです。
焼いている途中で出てくる余分な脂をキッチンペーパーでこまめに拭き取ると、皮がパリッと香ばしく仕上がります。
味付けは塩と黒胡椒だけでも十分ですが、お好みで柚子胡椒を添えると、さらに風味豊かな一品になります。
ご飯が進む照り焼き|冷めても美味しいお弁当のおかずに
ふりそでは冷めても硬くなりにくい性質があるため、照り焼きにしてお弁当のおかずに使うのも大変おすすめです。
まず、片栗粉を薄くまぶしたふりそでをフライパンで両面焼き、中まで火を通します。
一度肉を取り出し、フライパンに残った余分な脂を拭き取ります。
醤油、みりん、酒、砂糖を各大さじ1ずつ混ぜ合わせたタレをフライパンに入れて煮立たせ、肉を戻して全体に絡めれば、ご飯が進む甘辛い照り焼きの出来上がりです。
焼き鳥|おうちで専門店の味を再現する方法
焼き鳥店でも人気の「ふりそで」は、ご家庭でも簡単に楽しむことができます。
一口大に切ったふりそでと、3cm幅に切った長ねぎを交互に竹串に刺していきます。
塩を全体に振り、魚焼きグリルやフライパンで、時々返しながら香ばしい焼き色がつくまで焼くだけです。
お店のような本格的な味わいを、手軽に再現できます。
煮込み料理(カレー・トマト煮)|旨みが溶け出しコクが深まる
ふりそでは煮込んでもパサつきにくく、肉から出る旨みがスープに溶け出して料理全体のコクを深めてくれます。
いつものチキンカレーやシチュー、トマト煮込みなどを作る際に、鶏肉をふりそでに変えるだけで、ワンランク上の味わいになります。
じっくりと煮込むことで肉がほろほろと柔らかくなり、その食感の変化も楽しめます。
鶏肉ふりそで(肩肉)に関するよくある質問
最後に、鶏肉のふりそでに関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
お肉をさらに柔らかくジューシーにする方法は?
調理前に「ブライン液」に漬け込む方法が最も効果的でおすすめです。
ブライン液とは、水100ccに対し、塩と砂糖をそれぞれ5g(小さじ1杯程度)ずつ溶かした液体のことです。
このブライン液にふりそでを30分から1時間ほど漬けておくだけで、肉の保水力が高まり、調理後も驚くほど柔らかくジューシーな食感を保つことができます。
スーパーではどこに売ってる?見つけ方のコツは?
スーパーの精肉コーナーにある鶏肉売り場で、「肩肉」や「鶏トロ」、「肩小肉」といった商品名で販売されていることが多いです。
ただし、もも肉や胸肉のように必ず置いている定番商品ではないため、店舗によっては取り扱いがない場合もあります。
比較的大型のスーパーマーケットや、品揃えにこだわりのある店舗の方が見つけやすい傾向にあります。
見かけた際は、ぜひ一度試してみることをおすすめします。
カロリーは高い?もも肉・胸肉との比較
ふりそでのカロリーは、脂質の多いもも肉よりは低く、低脂肪な胸肉よりは高い、ちょうど両者の中間に位置します。
具体的な数値は商品や皮の有無によって異なりますが、一般的には「もも肉のジューシーさを楽しみつつ、少しカロリーを抑えたい」といった場合に最適な部位と言えるでしょう。
美味しさとヘルシーさのバランスが取れた、非常に使い勝手の良いお肉です。
まとめ:鶏肉ふりそでが安い理由と活用法の完全ガイド
- ふりそでは希少部位だが、需要が低いため安価である
- 鶏肉全体の供給量が多いため、市場には安定して出回る
- 安いのは「まずい」からではなく、需要と供給のバランスが理由である
- 味の評価が低い原因は、血合いやドリップなどの下処理不足が多い
- 食感はもも肉と胸肉の「いいとこ取り」でジューシーかつ淡白である
- 唐揚げにすると、もも肉より軽く、胸肉よりジューシーに仕上がる
- シンプルな塩焼きは、素材本来の旨みを最も楽しめる食べ方である
- 冷めても硬くなりにくいため、照り焼きにしてお弁当にも最適である
- ブライン液に漬け込むと、さらに柔らかくジューシーになる
- スーパーでは「肩肉」や「鶏トロ」の名で売られていることがある