スーパーマーケットの鶏肉コーナーで「鶏肩肉」や「ふりそで」という見慣れない部位が、驚くほど安く売られているのを見て、「これって本当に美味しいの?」「希少部位なのになぜ?」と疑問に思ったことはありませんか。
その安さから、つい購入をためらってしまう方もいるかもしれません。
この記事では、そんな鶏肩肉(ふりそで)が安い理由から、味の真相、もも肉や胸肉との違い、そしてその魅力を最大限に引き出す美味しい食べ方まで、専門的な視点から徹底的に解説します。
読み終える頃には、鶏肩肉が「安くて美味しい、賢い選択肢」であることが分かり、自信を持って日々の料理に取り入れられるようになるはずです。
そもそも鶏肩肉(ふりそで)とは?もも肉や胸肉との違いを解説

鶏肩肉はどこの部位?「ふりそで」や「鶏トロ」とも呼ばれる?
鶏肩肉とは、その名の通り鶏の肩の部分にあたるお肉で、手羽元と胸肉の間に位置しています。
翼の付け根の部分であり、人間でいうところの肩から二の腕にあたる筋肉です。
焼き鳥店などでは、その形が着物の振袖に似ていることから「ふりそで」という雅な名前で呼ばれることもあります。
また、適度な脂がありながらも上品な味わいから「鶏トロ」として提供されることもある、知る人ぞ知る魅力的な部位なのです。
鶏1羽から30g程度しか取れない希少部位って本当?
はい、本当です。
鶏肩肉は、鶏1羽からわずか30g~60g程度しか取れない、非常に希少な部位として知られています。
一般的なもも肉や胸肉が一羽から数百グラム取れることを考えると、その希少性がお分かりいただけるでしょう。
この希少性から、かつては精肉の過程で分けられることが少なく、一部の専門店でしかお目にかかれない部位でした。
食感や味の特徴は?もも肉と胸肉の「いいとこ取り」と言われる理由
鶏肩肉の最大の魅力は、もも肉と胸肉の長所を併せ持った、まさに「いいとこ取り」の食感と味わいにあります。
翼を動かすためによく使われる部位なので、肉質はしっかりとしていて歯ごたえがあります。
しかし、もも肉ほど脂っこくなく、胸肉ほどパサついていない絶妙なバランスが特徴です。
適度な脂のジューシーさと、引き締まった肉の旨味の両方を同時に楽しむことができ、様々な料理でそのポテンシャルを発揮します。
【結論】希少部位なのに鶏肩肉がスーパーで安く売られている3つの理由

理由① 認知度が低く、もも肉や胸肉に比べて人気・需要が少ないから
鶏肩肉が安い最大の理由は、その認知度の低さにあります。
日本の食卓では鶏肉といえば「もも肉」や「胸肉」が定番であり、多くの消費者は慣れ親しんだ部位を選びがちです。
そのため、鶏肩肉の美味しさや使いやすさがまだ広く知られておらず、需要が相対的に低くなっています。
希少部位でありながらも、需要が供給を上回らないため、スーパーなどでは手頃な価格で販売されるのです。
理由② 流通の仕組み上、安定して市場に供給されるから
鶏肉は、一度に大量の羽数が処理され、各部位に解体されて流通します。
その過程で、もも肉や胸肉といった主要な部位と同時に、鶏肩肉も必然的に一定量が生産されます。
つまり、特定の部位だけを生産するわけではないため、希少部位であっても供給が途絶えることはありません。
この安定した供給体制が、価格の安定、ひいては手頃な価格設定につながっているのです。
理由③ 海外産の安い鶏肉との価格競争があるから
スーパーで見かける鶏肉には、国産だけでなくブラジル産などの安価な輸入品も多くあります。
特にブラジルは、広大な土地で飼料となるトウモロコシなどを安価に生産できるため、鶏肉の生産コストを低く抑えることが可能です。
こうした安価な輸入品が市場に多く流通していることも、鶏肉全体の価格に影響を与えています。
鶏肩肉も例外ではなく、市場での価格競争の結果、消費者が手に取りやすい価格で提供される一因となっています。
「鶏肩肉はまずい・パサパサする」は本当?味に関する口コミの真相

「まずい」と感じる原因は?臭みや血合いなど質の個体差?
「鶏肩肉がまずい」という感想を持つ方がいる場合、その原因は部位そのものの味ではなく、購入したお肉の鮮度や状態に起因することがほとんどです。
例えば、パック内に赤い水分(ドリップ)が多く出ていたり、肉の色がくすんでいたりすると、臭みの原因になります。
また、まれに血合いが多く残っている場合もあり、これが味の違和感につながることも考えられます。
部位の特性というよりは、商品の品質管理や個体差による影響が大きいと言えるでしょう。
食感はパサパサ?調理法を間違えると硬くなる?
鶏肩肉は胸肉に比べれば脂分が多く、パサつきにくい部位です。
しかし、他の部位と同様に、加熱しすぎると肉の水分が失われて硬くなってしまいます。
特に、筋肉質な部位であるため、強火で急激に火を通すと縮んで硬くなりやすい傾向があります。
「パサパサする」と感じる場合は、調理法、特に火加減を見直すことで食感を大きく改善できる可能性があります。
結論:買って後悔しない!新鮮な鶏肩肉の見分け方
美味しい鶏肩肉を選ぶためには、新鮮さを見極めることが重要です。
以下のポイントを参考に、質の良いものを選びましょう。
- 色: 全体的に透明感のあるきれいなピンク色をしていること。
- ハリ: 肉にハリと弾力があること。
- ドリップ: パックの底にドリップ(赤い水分)が溜まっていないこと。
- 皮: 皮付きの場合は、毛穴が盛り上がっていて、キメが細かいこと。
これらの点をチェックするだけで、美味しく調理できる確率が格段に上がります。
鶏肩肉を格段に美味しくする!下処理と調理の全技術
買った日にやるべき臭みを取るための下処理方法
鶏肩肉のポテンシャルを最大限に引き出すには、調理前の簡単な下処理が効果的です。
まず、パックから取り出した鶏肉を、さっと冷水で洗い、キッチンペーパーで表面の水分を丁寧に拭き取ります。
このひと手間で、余分な臭みを取り除くことができます。
さらに、フォークで数カ所を刺したり、料理酒や塩麹を揉み込んでしばらく置いたりすると、肉が柔らかくなり、より美味しく仕上がります。
パサつき防止!鶏肩肉を柔らかくジューシーにする方法一覧
鶏肩肉を驚くほど柔らかく、ジューシーにするための代表的な方法をご紹介します。
方法 | 手順 | なぜ柔らかくなるか |
ブライン液 | 水100mlに対し塩5g、砂糖5gを混ぜた液に30分~1時間漬ける | 塩と砂糖の働きで肉の保水力が高まり、水分が内部に留まるため |
玉ねぎすりおろし | すりおろした玉ねぎに15分以上漬け込む | 玉ねぎに含まれる酵素がタンパク質を分解し、肉質を柔らかくするため |
ヨーグルト | プレーンヨーグルトに30分以上漬け込む | 乳酸菌や酵素がタンパク質を分解し、酸性が保水力を高めるため |
塩麹 | 塩麹を全体に揉み込み、30分以上置く | 麹菌が持つ酵素(プロテアーゼ)がタンパク質を分解するため |
これらの方法はどれも簡単なので、ぜひ調理前に試してみてください。
鶏肩肉の魅力を120%引き出す調理法は「焼き」「揚げ」「煮込み」
鶏肩肉は、その万能性から様々な調理法で美味しくいただけますが、特にその魅力が発揮されるのは「焼き」「揚げ」「煮込み」です。
- 焼き調理: 塩焼きやグリル、ソテーにすると、適度な脂が溶け出して香ばしい風味が引き立ちます。外はカリッと、中はジューシーな食感を楽しめます。
- 揚げ調理: 唐揚げやチキンカツに最適です。高温で揚げることで肉の旨味を閉じ込め、歯ごたえがありながらもジューシーな仕上がりになります。
- 煮込み調理: カレーやシチュー、トマト煮込みに使うと、長時間煮込んでも煮崩れしにくく、肉の旨味がスープに溶け出して深いコクを与えます。
【決定版】鶏肩肉の人気レシピ10選|定番から簡単アレンジまで

素材の味を堪能!塩焼き・ガーリックソテー
鶏肩肉の本来の美味しさを味わうなら、シンプルな調理法が一番です。
塩、こしょうを振ってフライパンやグリルで焼くだけで、立派なごちそうになります。
スライスしたにんにくと一緒にオリーブオイルでソテーすれば、香りが食欲をそそる一品に。
レモンを絞ってさっぱりといただくのもおすすめです。
一番人気!ジューシーに仕上がる鶏肩肉の唐揚げ
鶏肩肉で作る唐揚げは、もも肉とはひと味違った魅力があります。
肉質がしっかりしているため食べごたえがあり、噛むほどに肉の旨味があふれ出します。
下味をしっかり揉み込み、片栗粉をまぶしてカラリと揚げれば、外はサクサク、中は驚くほどジューシーな絶品唐揚げが完成します。
冷めても美味しく、お弁当のおかずにもぴったりです。
ご飯がすすむ!鶏肩肉の照り焼き・甘辛炒め
甘辛い味付けは、鶏肩肉との相性も抜群です。
醤油、みりん、砂糖で作る定番の照り焼きは、香ばしいタレが肉に絡み、ご飯が何杯でも食べられそうな美味しさです。
また、長ねぎやピーマンなどの野菜と一緒に炒め物にすれば、ボリュームもアップし、栄養バランスの良い主菜になります。
旨味が溶け出す!カレーやトマト煮込みなどの煮物レシピ
鶏肩肉は煮込み料理にも非常に向いています。
カレーやシチューに入れると、肉がホロリと柔らかくなり、スープ全体に鶏の豊かな旨味が溶け込みます。
トマト缶を使った煮込み料理もおすすめです。
鶏肉のコクとトマトの酸味が絶妙にマッチし、本格的な味わいを手軽に楽しむことができます。
まとめ:鶏肩肉 安い理由の完全ガイド
鶏肩肉は、その安さの裏に確かな美味しさと使いやすさを秘めた、非常にコストパフォーマンスの高い食材です。
安い理由を正しく理解し、ちょっとした下処理や調理のコツを押さえるだけで、その魅力は何倍にも広がります。
この記事を参考に、ぜひ鶏肩肉を日々の食卓に取り入れて、レパートリーを豊かにしてみてはいかがでしょうか。
- 鶏肩肉は手羽元と胸肉の間にある希少部位である
- 「ふりそで」や「鶏トロ」とも呼ばれる
- 鶏1羽から30g~60g程度しか取れない
- 安い理由は認知度が低く、需要が安定しているため
- もも肉のジューシーさと胸肉のあっさり感を併せ持つ
- 「まずい」との評判は鮮度や下処理が原因であることが多い
- 新鮮なものはピンク色でハリがあり、ドリップが少ない
- 酒や塩麹での下処理で臭みが取れ、柔らかくなる
- 唐揚げや塩焼き、煮込みなど幅広い料理で活躍する
- コストパフォーマンスに優れた、賢い節約食材である