ミスジが安い理由は？希少部位なのに手頃な価格の謎を解明

焼肉店やスーパーの精肉コーナーで「ミスジ」という部位を目にしたことはありますか。

「幻の部位」とも呼ばれる希少部位でありながら、サーロインやヒレといった他の高級部位に比べて、意外と手頃な価格で販売されていることに疑問を感じた方もいるかもしれません。

この記事では、牛肉のミスジが安い理由について、部位の特性や流通の仕組みといった観点から徹底的に解説します。

さらに、ミスジの具体的な値段の相場や、「まずい」と言われる真相、コストコなどで購入したミスジを最高に美味しく食べるための焼き方のコツまで、あなたの疑問をすべて解消します。

【結論】牛肉ミスジが安いと言われる5つの理由

牛肉のミスジが希少部位にもかかわらず比較的安い価格で提供されるのは、知名度、部位が持つ特有の食感、そして精肉業界における流通方法など、複数の理由が複合的に関係しているためです。

決して品質が低いわけではなく、理由を知ることでコストパフォーマンスに優れた非常に魅力的な部位であることがわかります。

理由①：知名度が低く、サーロインなどの人気部位に需要が集中するため

ミスジは、その美味しさにもかかわらず、サーロインやヒレ、カルビといった焼肉の定番部位に比べると、一般消費者の中での知名度がまだ高くありません。

市場では、需要と供給のバランスによって価格が決定されます。

どれだけ希少な部位であっても、知名度が低く求める人が少なければ、需要が供給を大きく上回ることがなく、価格が高騰しにくいのです。

多くの消費者がまずは王道の部位を選ぶため、ミスジの需要は特定のファンに限られ、結果として価格が安定しやすい傾向にあります。

理由②：中央の「筋」が食感の好みを分けるため

ミスジという名前の由来は、部位の真ん中に3本の筋が入っていることにあります。

この中央にある一本の太い筋は、ミスジの最大の特徴であり、同時に食感の好みが分かれる要因ともなっています。

適切に処理すれば気にならないものの、焼き方やカットによっては、この筋が硬く感じられたり、噛み切りにくいと感じる人もいます。

とろけるような柔らかさだけを求める消費者からは敬遠されることがあるため、万人が好む部位とは言えず、需要が一定に保たれることが価格を抑える一因となっています。

理由③：「肩ロース」の一部として一括販売され、単体で値付けされにくいため

ミスジは、牛の「ウデ」という大きな部位の中に含まれており、スーパーなどではさらに大きな括りである「肩ロース」の一部として販売されることが一般的です。

精肉店や小売店がミスジだけを正確に切り分けて単体商品として販売するには、専門的な技術と手間がかかります。

そのため、多くの場合は「肩ロース」としてまとめて仕入れ、そのままスライスして販売する方が効率的です。

結果として、ミスジという希少部位に対して特別な価格設定がされず、肩ロース全体の平均的な価格で販売されるため、消費者は安価に購入できる機会が多くなります。

理由④：比較的安価な輸入牛（アメリカ産など）の流通量が多いため

現在、市場には国産和牛だけでなく、アメリカ産やオーストラリア産といった輸入牛のミスジも大量に流通しています。

特に輸入牛は、広大な土地で大量に生産されるため、国産牛に比べて供給量が圧倒的に多く、価格も安価です。

コストコなどで見かけるミスジの多くは、この輸入牛にあたります。

赤身が主体で和牛のような霜降りは少ないですが、手頃な価格で手に入るため、ミスジ全体の平均価格を押し下げる要因となっています。

理由⑤：希少部位であるものの、特定の調理法に用途が限られるため

ミスジは、肉質が柔らかく風味も豊かですが、その形状や筋の存在から、ステーキのような厚切りの塊肉としてよりも、焼肉やしゃぶしゃぶ、すき焼きのような薄切りでの利用が主流です。

大きな塊肉としての需要がサーロインやリブロースに比べて少ないことも、価格が上がりにくい理由の一つです。

精肉業界では、汎用性が高く、様々な料理に使える部位ほど高値がつきやすい傾向がありますが、ミスジは用途がやや限定されるため、価格が抑えられています。

ミスジの値段はいくら？100gあたりの価格相場を徹底比較

ミスジの価格は、国産和牛か輸入牛か、そしてスーパーや精肉店、通販といった購入場所によって大きく変動します。

ここでは、それぞれのケースにおける100gあたりの価格相場を比較し、具体的な値段の目安を紹介します。

スーパーでの値段は？国産牛と輸入牛（コストコ）の価格差

スーパーマーケットでミスジを購入する場合、産地によって価格が大きく異なります。

最も手頃なのはアメリカ産やオーストラリア産の輸入牛で、特にコストコなどではリーズナブルな価格で販売されています。

一方で、国産牛、特に黒毛和牛になると価格は数倍に跳ね上がります。

種類	100gあたりの価格相場	特徴
輸入牛（アメリカ産など）	300円 ～ 600円	赤身が主体でしっかりした食感。コストコなどで人気。
国産牛（交雑種など）	800円 ～ 1,500円	適度な霜降りと赤身のバランスが良い。
国産黒毛和牛（A4/A5）	1,500円 ～ 3,000円以上	きめ細かい霜降りが特徴で、とろけるような食感。

焼肉屋で注文した場合の料金の目安

焼肉店でミスジを注文する場合、一人前（約80g～100g）あたりの価格は、お店のランクや使用している牛肉の種類によって変わります。

一般的な焼肉店では1,000円台から提供されていますが、高級店でA5ランクの黒毛和牛のミスジとなると、3,000円を超えることも珍しくありません。

希少部位として、カルビやロースよりは高めに設定されていることがほとんどです。

通販で買えるミスジの価格一覧

インターネット通販を利用すると、様々な品質や価格帯のミスジを比較検討して購入できます。

冷凍のブロック肉であれば、スーパーで購入するより割安になるケースもあります。

特に、セール時期や訳あり品などを狙うと、高品質な黒毛和牛のミスジをお得に手に入れることも可能です。

送料などを考慮しても、まとめ買いをする場合は通販が便利な選択肢となるでしょう。

「ミスジはまずい・硬い」は本当？美味しくないと言われる3つの原因

「ミスジステーキを食べたら硬くてまずかった」という声を聞くことがありますが、これはミスジそのものの品質が悪いのではなく、いくつかの原因が考えられます。

その真相を理解すれば、ミスジの本当の美味しさを引き出すことができます。

原因①：国産と海外産（コストコなど）では肉質が全く違うから

最も大きな原因は、国産和牛と海外産（アメリカ産、オーストラリア産など）のミスジの肉質の違いを理解していないことです。

国産の黒毛和牛のミスジは、きめ細かいサシ（霜降り）が豊富に入っており、非常に柔らかく脂の甘みを感じられます。

一方、コストコなどで販売されている海外産のミスジは、赤身が主体で脂肪が少ないため、和牛と同じ感覚で焼くと硬く感じやすいのです。

これらは「同じミスジ」という名前でも、全く別の特徴を持つ牛肉だと認識することが重要です。

原因②：焼きすぎてジューシーな旨味と脂が逃げているから

ミスジは、サシが入っているとはいえ、比較的繊細な部位です。

特にステーキや焼肉で火を入れすぎると、せっかくの肉汁や脂が外に流れ出てしまい、パサパサとした食感になってしまいます。

肉が硬くなる主な原因は、加熱によるタンパク質の収縮と水分の蒸発です。

「ウェルダンが好きだから」と長時間焼いてしまうと、ミスジ本来の柔らかさやジューシーさが失われてしまいます。

原因③：下処理が不十分で、硬い筋が口に残るから

前述の通り、ミスジの中央には一本の筋が存在します。

この筋は、加熱するとある程度柔らかくなりますが、特に厚切りのステーキなどでは口に残りやすい部分です。

焼く前にこの筋に対して「筋切り」などの下処理を施すか、調理法を工夫しないと、食感の悪さが「まずい」という印象につながってしまいます。

プロの焼肉店では、この筋を丁寧に処理したり、隠し包丁を入れたりすることで、美味しく食べられるように工夫しています。

自宅で絶品！ミスジを最高に美味しくする調理法と焼き方のコツ

ミスジのポテンシャルを最大限に引き出す秘訣は、適切な下処理と調理法、そして絶妙な火加減にあります。

ここでは、家庭でも簡単に実践できる、ミスジを最高に美味しく食べるためのポイントを紹介します。

【基本の下処理】硬い筋を柔らかくする方法

特に海外産のミスジステーキを調理する前には、一手間加えることで仕上がりが格段に変わります。

まず、焼く30分～1時間前には冷蔵庫から出し、肉を常温に戻しておくことが均一に火を通すための基本です。

そして、中央の筋や表面にある硬そうな筋に対して、包丁の先で数カ所切れ込みを入れる「筋切り」を行いましょう。

これにより、加熱による肉の収縮を防ぎ、筋が口に残るのを和らげることができます。

ステーキを柔らかくジューシーに焼くには？

ミスジステーキを美味しく焼くコツは「強火で短時間」です。

フライパンをしっかりと熱してから肉を入れ、片面に焼き色がついたら裏返します。

焼き加減は、肉の旨味と柔らかさを最も楽しめるミディアムレアがおすすめです。

焼き上がった後は、すぐにカットせず、アルミホイルで包んで数分間休ませましょう。

この工程で肉汁が内部に落ち着き、カットした際に流れ出るのを防ぎ、よりジューシーな仕上がりになります。

焼肉で楽しむ場合の最適な焼き加減

焼肉でミスジを食べる場合は、薄切りが基本です。

網や鉄板の上で、片面をサッと炙るように焼き、肉の色が変わったらすぐに裏返します。

もう片面も軽く火が通る程度で引き上げるのがベストタイミングです。

焼きすぎは厳禁で、肉の赤い部分が少し残るくらいが、ミスジ特有のとろけるような食感と脂の甘みを最も堪能できます。

しゃぶしゃぶ・すき焼きでも美味しく食べられる？

はい、ミスジはしゃぶしゃぶやすき焼きにも非常に適した部位です。

薄切りにすることで中央の筋も気にならなくなり、肉本来の柔らかさと旨味を存分に味わえます。

しゃぶしゃぶでは、沸騰したお湯にさっと数秒くぐらせるだけで十分です。

すき焼きの甘辛い割り下との相性も抜群で、溶き卵に絡めれば、とろけるような食感と濃厚な味わいが楽しめます。

ミスジと他の部位、どっちが美味しい？ザブトンやイチボとの違いを比較

牛肉には様々な部位があり、それぞれに異なる魅力があります。

ミスジとよく比較される希少部位との違いを知ることで、自分の好みに合った一品を見つけることができるでしょう。

【徹底比較】ミスジ vs ザブトン｜柔らかさ・脂の旨みで選ぶなら？

ミスジとザブトンは、どちらも肩ロース近辺に位置する希少部位ですが、その特徴は対照的です。

どちらが優れているということではなく、何を重視するかで好みが分かれます。

部位	ミスジ	ザブトン
特徴	赤身の旨みと脂のバランスが良い	圧倒的な霜降りで脂の甘みが強い
食感	柔らかさの中に適度な歯ごたえ	口の中でとろけるような柔らかさ
味わい	肉らしい濃厚な風味とさっぱりした脂	濃厚で甘い脂の旨みが主役
おすすめな人	赤身の味も楽しみたい方	とろける食感と脂の甘みを堪能したい方

ミスジと肩ロースの違いと関係性は？

ミスジは、大きな部位である「肩ロース」の一部です。

肩ロースは、牛の肩から背中にかけての部位で、複数の筋肉が集まっているため、場所によって肉質が異なります。

その中でも、肩甲骨の内側にある特に柔らかく霜降りが入りやすい部分がミスジです。

つまり、「肩ロース」という大きな枠の中に「ミスジ」というエリート部分が存在する、という関係性になります。

サーロインやヒレとはどう違う？味や食感を解説

サーロインやヒレは、牛肉の中でも最高級部位として知られています。

サーロインは「ステーキの王様」とも呼ばれ、きめ細かい肉質とジューシーな脂の旨みが特徴です。

一方、ヒレは最も運動量が少ない筋肉で、脂肪が少なく非常に柔らかい赤身肉です。

ミスジは、サーロインほど脂は多くなく、ヒレほど淡白でもありません。

赤身のしっかりとした旨みと、適度な霜降りの甘みを両方楽しめる、バランスの取れた味わいが魅力と言えるでしょう。

ミスジのカロリーと栄養素｜ダイエット中に食べても太る？

美味しい牛肉を楽しむ上で、カロリーや脂質が気になる方も多いでしょう。

ミスジは牛肉の部位の中では、カロリーや脂質は中程度に位置します。

適量を守り、食べ方を工夫すれば、ダイエット中でも楽しむことが可能です。

ミスジ100gあたりのカロリー・脂質・タンパク質一覧

ミスジ（和牛）の栄養成分のおおよその目安は以下の通りです。

牛肉の栄養価は牛の種類や飼育方法によって変動するため、あくまで参考値としてご覧ください。

• カロリー：約200～260 kcal
• 脂質：約10～22 g
• タンパク質：約17～19 g

赤身と脂肪がバランス良く含まれていることがわかります。

カルビやロースと比べてヘルシー？

焼肉の定番であるカルビ（バラ肉）と比較すると、ミスジは明らかにヘルシーです。

カルビは脂質の塊ともいえる部位で、100gあたりのカロリーは500kcalを超えることもあります。

それに比べると、ミスジのカロリーや脂質は約半分程度です。

ロース（肩ロースやリブロース）と比較した場合は、部位によって差がありますが、概ね同程度か、ミスジの方がやや脂質が少ない傾向にあります。

ダイエット中にミスジを食べる際のポイント

ダイエット中にミスジを食べる際は、いくつかのポイントを意識すると良いでしょう。

まず、調理法は焼肉やステーキよりも、余分な脂を落とせる「しゃぶしゃぶ」や「蒸し料理」がおすすめです。

焼いて食べる場合でも、タレではなく塩やレモン、わさびでシンプルに味わうことで、糖質や脂質の摂取を抑えられます。

そして最も重要なのは「食べ過ぎないこと」です。

タンパク質が豊富なミスジは、適量であれば筋肉の維持にも役立つため、賢く食事に取り入れてみてください。

まとめ：ミスジが安い理由と美味しく食べる秘訣