居酒屋や焼き鳥店で定番のおつまみとして人気の「やげん軟骨」。
コリコリとした独特の食感がクセになりますが、「1羽から少ししか取れない希少部位なのに、なぜこんなに安いの?」と疑問に思ったことはありませんか。
たしかに、スーパーでも手頃な価格で手に入り、おつまみとして気軽に楽しめます。
この記事では、やげん軟骨が安い理由を3つの視点から詳しく解説します。
さらに、混同されがちな「ひざ軟骨」との違い、気になる栄養価やカロリー、食べる際のデメリットや注意点まで網羅的にご紹介。
やげん軟骨がどこで売っているのか、そして家庭で簡単に作れる絶品レシピまで、あなたの知りたい情報をすべて詰め込みました。
【結論】やげん軟骨が希少部位なのに安い3つの理由

やげん軟骨が1羽から少量しか取れない希少部位であるにもかかわらず、手頃な価格で提供されるのには、主に3つの明確な理由があります。
これらの理由が組み合わさることで、私たちは美味しくて食感も楽しいやげん軟骨を安価に楽しむことができています。
理由①:胸肉やささみを取る際の「副産物」として扱われるため
やげん軟骨が安い最大の理由は、食肉加工の過程で「副産物」として発生する部位だからです。
鶏を解体する際、事業者の主な目的は、商品価値の高いもも肉や胸肉、ささみといった主要な肉を確保することにあります。
やげん軟骨は胸骨の先端に位置しており、胸肉やささみを切り出した後に残る部位です。
つまり、やげん軟骨そのものを取るために鶏を解体するわけではないため、主役の肉に比べて価格を安く設定することができるのです。
理由②:食肉としての需要が主役の部位に比べて限定的だから
二つ目の理由は、もも肉や胸肉といった部位に比べて、やげん軟骨の需要が限定的である点です。
もも肉や胸肉は唐揚げや親子丼、チキンソテーなど、家庭料理の主役として幅広く使われ、日常的に消費されるため高い需要があります。
一方、やげん軟骨は主に居酒屋のおつまみや一部の惣菜としての利用が中心で、毎日食卓に上るような部位ではありません。
このように需要が特定の用途に限られているため、供給に対して価格が上がりにくく、手頃な価格帯を維持しています。
理由③:ブロイラーの普及により鶏肉全体の価格が安定しているから
三つ目の背景として、鶏肉そのものの価格が安く安定していることが挙げられます。
昭和30年代後半に、短期間で効率的に肥育できる「ブロイラー」がアメリカから導入されたことで、鶏肉はかつての高級食材から一気に大衆的な食材へと変化しました。
このブロイラーの普及により、鶏肉全体の供給量が飛躍的に増加し、市場価格が安定しました。
鶏肉自体の価格が安価であることが、やげん軟骨のような副産物的な部位の価格も低く抑える大きな要因となっているのです。
そもそも「やげん軟骨」とは?どこの部位でどんな特徴がある?

やげん軟骨の安さの理由がわかったところで、この部位が具体的に鶏のどこにあって、どのような特徴を持つのかを詳しく見ていきましょう。
名前の由来や、よく似た「ひざ軟骨」との違いを知ることで、さらにやげん軟骨の魅力が深まります。
やげん軟骨は鶏の胸の中心にある「胸骨の先端」部分
やげん軟骨は、鶏の胸の中心部にある「胸骨(きょうこつ)」という骨の、先端にある柔らかい骨の部分を指します。
2本のささみに挟まれるような位置にあり、鶏が翼を動かすための胸の筋肉を支える重要な役割を担っています。
1羽の鶏から1つしか取れないため「希少部位」として知られていますが、前述の通り副産物として扱われるため価格は手頃です。
名前の由来は漢方薬をすり潰す道具「薬研(やげん)」
「やげん軟骨」という独特な名前は、その形状が、古くから漢方薬などを細かくすり潰すために使われてきた「薬研(やげん)」という道具に似ていることに由来します。
薬研は、中央がくぼんだ舟のような形の受け皿と、円盤状の車輪で構成される道具です。
やげん軟骨のV字型またはU字型の形状が、この薬研の受け皿部分を彷彿とさせることから、この名で呼ばれるようになりました。
地域や店舗によっては「さんかく軟骨」や「かっぱ軟骨」と呼ばれることもあります。
ひざ軟骨(ゲンコツ)との違いは?食感と希少性を比較
鶏の軟骨には、やげん軟骨の他に「ひざ軟骨」も存在します。
これらは部位や食感が異なり、調理法も変わってきます。
項目 | やげん軟骨 | ひざ軟骨(ゲンコツ) |
---|---|---|
部位 | 胸骨の先端 | 膝の関節 |
1羽から取れる数 | 1個 | 2個 |
食感 | コリコリ(比較的柔らかい) | ゴリゴリ(硬め) |
主な調理法 | 焼き鳥、炒め物 | 唐揚げ |
やげん軟骨は比較的柔らかく「コリコリ」とした食感で、焼き鳥や炒め物で楽しまれることが多いです。
一方、ひざ軟骨はその形状から「ゲンコツ」とも呼ばれ、「ゴリゴリ」とした硬めの食感が特徴で、居酒屋で提供される軟骨の唐揚げの多くは、このひざ軟骨が使用されています。
やげん軟骨の栄養とカロリーは?ダイエットに効果的って本当?

おつまみのイメージが強いやげん軟骨ですが、実は栄養面でも優れた特徴を持っています。
特にカロリーの低さと豊富なたんぱく質は、健康やダイエットを意識する方にとって大きな魅力です。
カロリーは100gあたり約54kcal!他の鶏肉部位との比較
やげん軟骨の最大の魅力の一つは、その圧倒的な低カロリーさです。
食品成分データベースによると、やげん軟骨のカロリーは100gあたりわずか54kcalです。
これは他の鶏肉の部位と比較しても非常に低い数値です。
部位 (100gあたり) | カロリー |
---|---|
やげん軟骨 | 約54kcal |
ささみ | 約105kcal |
むね肉(皮なし) | 約116kcal |
もも肉(皮なし) | 約127kcal |
かわ | 約500kcal |
このように、ヘルシーなイメージのあるささみやむね肉よりもさらに低カロリーであり、ダイエット中の食材として非常に優れていることがわかります。
主な栄養成分一覧|高たんぱく・低脂質でコラーゲンも豊富
やげん軟骨は低カロリーなだけでなく、体作りに欠かせない栄養素も豊富に含んでいます。
100gあたり約12.5gのたんぱく質を含んでおり、これは筋肉の維持や修復、基礎代謝の向上に役立ちます。
一方で脂質や炭水化物はほとんど含まれていません。
さらに、軟骨の主成分であるコラーゲンも摂取できるため、肌のハリや関節の健康維持をサポートする効果も期待できます。
カルシウムやナイアシンといったビタミン・ミネラルも含まれており、栄養価の高い食材と言えるでしょう。
ダイエット中に食べても太らない?満腹感を得やすいのもメリット
結論として、やげん軟骨は適切な調理法で適量を食べる限り、ダイエット中に最適な食材です。
低カロリー・高たんぱく質であることに加え、独特の硬い食感が咀嚼(そしゃく)回数を自然に増やしてくれます。
よく噛むことで満腹中枢が刺激され、少量でも満足感を得やすくなるため、食べ過ぎの防止につながります。
ただし、唐揚げにしたり、甘辛いタレをたっぷりつけたりすると、脂質や糖質、塩分の摂取量が増えてしまうため注意が必要です。
ダイエット中は、塩コショウでシンプルに炒めるなどのヘルシーな調理法を選びましょう。
やげん軟骨のデメリットは?「体に悪い」と言われる理由と対策
やげん軟骨は栄養価が高くヘルシーな食材ですが、「体に悪い」という声も聞かれます。
これは食べ方や調理法に起因するもので、いくつかの注意点を守れば安心して楽しむことができます。
ここでは、考えられるデメリットとその対策を具体的に解説します。
有害物質が濃縮する危険性はある?
「レバーには有害物質が溜まりやすい」という話から、他の内臓や特殊な部位にも同様の心配をする方がいるかもしれません。
しかし、やげん軟骨に関して、有害物質や投与された薬剤が特に濃縮しやすいといった科学的な報告はなく、その点での危険性は低いと考えられています。
鶏肉の軟骨部位は、適切に処理・調理されていれば安全に食べられる食品です。
【注意点1】カンピロバクター食中毒のリスクと安全な加熱方法
やげん軟骨を食べる上で最も注意すべき点は、食中毒のリスクです。
生の鶏肉には、食中毒の原因となるカンピロバクター菌が付着している可能性があります。
この菌は熱に弱く、75℃以上で1分以上加熱することで死滅します。
そのため、やげん軟骨を調理する際は、必ず中心部まで十分に火を通すことが重要です。
また、生の軟骨を扱った包丁やまな板、手指を介して他の食材に菌が移る「二次汚染」にも注意し、調理器具は使用後にしっかりと洗浄・消毒しましょう。
【注意点2】消化不良や胃もたれを防ぐには「よく噛むこと」が重要
やげん軟骨の硬い食感は魅力ですが、これが消化の負担になることもあります。
よく噛まずに大きな塊のまま飲み込んでしまうと、胃腸で消化されにくく、胃もたれや腹痛、下痢といった消化不良の症状を引き起こす可能性があります。
食べる際は、一口ずつ意識して何度も噛むことを心がけてください。
よく噛むことは消化を助けるだけでなく、満腹感も得やすくなるため一石二鳥です。
特に胃腸が弱い方や体調が優れないときは、食べ過ぎないようにしましょう。
【注意点3】塩分の摂りすぎを防ぐ調理のコツと食べ合わせ
やげん軟骨自体、100gあたり約1gの食塩相当量が含まれており、鶏肉の他の部位に比べてナトリウムを多く含んでいます。
そのため、濃い味付けで調理すると、塩分の過剰摂取につながりやすく、むくみや高血圧のリスクを高める可能性があります。
調理する際は、タレをたっぷり使うよりも塩コショウやハーブ、スパイスなどで風味付けするのがおすすめです。
また、体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を促す「カリウム」を多く含む野菜(ほうれん草、小松菜など)や、きのこ類、海藻類と一緒に食べることで、塩分の影響を和らげることができます。
やげん軟骨はどこで売ってる?業務スーパーやハナマサが安い?

いざやげん軟骨を家庭で楽しもうと思ったとき、どこで手に入れられるのでしょうか。
近年では取り扱う店舗も増えており、身近な場所で購入することが可能です。
特にコストパフォーマンスを重視するなら、業務用スーパーが狙い目です。
【コスパ最強】業務スーパーの「やげん軟骨肉付(IQF)」の値段と特徴
安さと品揃えで人気の業務スーパーでは、冷凍コーナーで「吉備高原どり やげん軟骨肉付(IQF)」という商品が販売されています。
内容量は500gと大容量で、価格も非常に手頃なのが魅力です。
IQF(Individual Quick Freezing)というバラ凍結の技術が使われているため、凍った状態でも塊になっておらず、使いたい分だけをパラパラと取り出して調理できるので大変便利です。
肉付きなので、軟骨のコリコリ感と鶏肉のジューシーさを同時に楽しめます。
肉のハナマサでも冷凍の唐揚げ用商品が購入可能
プロ向けの食材を豊富に取り揃える「肉のハナマサ」でも、やげん軟骨関連の商品が見つかります。
「プロ仕様 鶏ヤゲン軟骨唐揚」は、すでに味付けされた調理済み商品で、油で揚げるだけで簡単にお店の味を再現できます。
こちらも500g入りの冷凍商品で、手軽におつまみやおかずを一品追加したいときに重宝します。
近所のスーパーや精肉店での見つけ方のポイント
最近では、一般的なスーパーマーケットや町の精肉店でも、やげん軟骨を取り扱う店舗が増えています。
鶏肉コーナーの端の方や、レバーや砂肝といったホルモン・希少部位がまとめられているコーナーに、小さなパックで置かれていることが多いです。
もし店頭で見つからない場合は、店員さんに「やげん軟骨はありますか?」と尋ねてみると、取り扱いがあるか、あるいは取り寄せてもらえるかを確認できます。
通販でも手軽に購入できる?
Amazonや楽天市場といった大手通販サイトでも、冷凍のやげん軟骨は多数販売されています。
産地やブランドにこだわった商品や、1kg以上の大容量パックなど、実店舗にはない選択肢の広さが魅力です。
自宅まで届けてくれるので、まとめ買いして冷凍庫にストックしておきたい方には特に便利な購入方法です。
今日から試せる!やげん軟骨の絶品おつまみレシピ

やげん軟骨は調理が難しそうに思えるかもしれませんが、実はとてもシンプル。
フライパン一つで簡単に美味しいおつまみが作れます。
ここでは、家庭で手軽に試せるおすすめのレシピを3つご紹介します。
定番のコリコリ食感!フライパンで簡単「塩炒め」
やげん軟骨本来の美味しさをダイレクトに味わえる、最もシンプルで定番のレシピです。
フライパンに少量の油(ごま油もおすすめ)を熱し、やげん軟骨を入れて中火で炒めます。
全体に火が通ったら、塩と粗挽き黒コショウを振って味を調えるだけで完成です。
お好みでスライスしたニンニクや長ネギと一緒に炒めると、風味がアップしてさらに美味しくなります。
レモンを絞ってさっぱりといただくのもおすすめです。
ピリッと大人の味!ビールが進む「柚子胡椒焼き」
居酒屋で出てくるような、少し本格的な味わいを楽しみたいなら柚子胡椒焼きがぴったりです。
まず、やげん軟骨に軽く塩コショウで下味をつけます。
フライパンで軟骨を炒め、火が通ったら一度火を弱め、酒、みりん、醤油、そして柚子胡椒を混ぜ合わせたタレを回しかけます。
再び火を強めてタレを全体に絡めながら炒め、汁気が飛んだら出来上がりです。
柚子胡椒のピリッとした辛味と爽やかな香りが食欲をそそり、ビールやハイボールとの相性も抜群です。
揚げずにヘルシー!「やげん軟骨の唐揚げ風」
軟骨の唐揚げは美味しいですが、油の処理やカロリーが気になるところです。
そんな時は、揚げずに作る「唐揚げ風」のレシピがおすすめです。
まず、ポリ袋にやげん軟骨と、おろし生姜、おろしニンニク、醤油、酒を入れてよく揉み込み、10分ほど置きます。
下味が付いたら、袋に片栗粉を加えて全体にまんべんなくまぶします。
フライパンに少し多めのサラダ油をひいて熱し、軟骨を並べ入れて両面がカリッとするまで揚げ焼きにすれば完成です。
少ない油で作れるので後片付けも簡単で、ヘルシーに唐揚げの雰囲気を楽しめます。
まとめ:やげん軟骨が安い理由と楽しみ方の完全ガイド
- やげん軟骨は希少部位だが、胸肉などの「副産物」のため安い
- 需要がもも肉や胸肉に比べて限定的なことも安さの一因である
- ブロイラーの普及で鶏肉全体の価格が安定していることも影響する
- やげん軟骨は鶏の胸骨の先端部分で、1羽から1つしか取れない
- カロリーは100gあたり約54kcalと非常に低くダイエット向きである
- 高たんぱく質でコラーゲンやカルシウムも豊富に含む
- 体に悪いわけではないが、加熱不足による食中毒には注意が必要である
- よく噛むことで消化不良を防ぎ、塩分の摂りすぎには気をつける
- 業務スーパーやハナマサ、一般のスーパー、通販などで購入可能である
- 塩炒めや柚子胡椒焼きなど、簡単なレシピで美味しく楽しめる