焼き鳥屋で人気のメニュー「ぼんじり」。
ジューシーでとろけるような食感が魅力ですが、「1羽から少ししか取れない希少部位なのに、なぜか価格が安い」と疑問に思ったことはありませんか?
この記事では、プロの視点から「ぼんじりが安い理由」を徹底的に解説します。
さらに、ぼんじりの部位や味、栄養価、気になる衛生面の問題から、家庭でできる下処理の方法、絶品レシピまで、ぼんじりの魅力を余すところなくお伝えします。
【結論】希少部位なのに?ぼんじりが安い5つの理由

ぼんじりが希少部位でありながら安価で提供されるのには、主に5つの明確な理由があります。
需要と供給のバランス、調理の手間、そして食文化のイメージが複合的に影響しています。
理由1:家庭での需要が少ないから
ぼんじりが安い最大の理由は、もも肉やむね肉といった定番部位に比べて、一般家庭での料理素材としての需要が限られているためです。
多くのスーパーでは定番の鶏肉が優先的に陳列され、ぼんじりを見かける機会は少ないでしょう。
需要が主に焼き鳥店などの業務用に集中しているため、家庭向け市場での価格競争が起きにくく、結果として価格が安定しやすくなっています。
理由2:下処理に手間がかかり敬遠されがちだから
ぼんじりには、「油壷(あぶらつぼ)」と呼ばれる臭みの原因となる脂肪腺や、中心に硬い骨が存在します。
美味しく食べるためには、これらを丁寧に取り除く下処理が不可欠です。
この手間がかかる作業が、家庭で調理する際に敬遠される一因となっています。
調理のしやすさで他の部位に劣るため、需要が伸び悩み、価格が安く抑えられる傾向にあります。
理由3:高カロリーで健康志向と合わないから
ぼんじりは「鶏肉の大トロ」と称されるほど脂肪分が非常に多く、鶏肉の部位の中でもトップクラスの高カロリーです。
近年、健康志向の高まりから低カロリー・高タンパクな鶏むね肉などが好まれる傾向にあります。
そのため、脂質の多さが気になる層からは需要が少なくなり、価格が上がりにくい要因となっています。
理由4:焼き鳥以外のレシピが浸透していないから
ぼんじりと聞くと、多くの人が「焼き鳥」を思い浮かべるのではないでしょうか。
唐揚げや炒め物にしても美味しい部位ですが、焼き鳥というイメージが強すぎるため、消費者が他のレシピに活用する機会が少ないのが現状です。
用途が限られるというイメージが、需要の拡大を妨げ、価格が手頃な水準で留まる一因と考えられます。
理由5:日本の鶏肉消費量が多く供給が安定しているから
日本は世界的に見ても鶏肉の消費量が多い国です。
国内で大量の鶏が処理されているため、1羽から少量しか取れないぼんじりでも、市場全体で見れば一定量が常に供給されています。
この安定した供給体制が、希少部位でありながら価格の極端な高騰を防ぎ、手頃な価格を維持する基盤となっています。
そういえば「ぼんじり」とは?どこの部位でどんな味?

ぼんじりの安さの理由がわかったところで、改めて「ぼんじり」がどのような部位なのか、その特徴を詳しく見ていきましょう。
ぼんじりは鶏のお尻(尻尾の付け根)の部位
ぼんじりとは、鶏の尻尾の付け根にある、尾骨の周りを覆っている三角形の肉を指します。
鶏が尻尾を動かすためによく使う筋肉であり、筋肉質でありながら非常に多くの脂がのっているのが特徴です。
1羽から1つしか取れない、ごくわずかな希少部位です。
味と食感は「鶏肉の大トロ」と呼ばれるほどジューシー
ぼんじりの最大の魅力は、その独特の食感と味わいです。
口に入れると、表面の皮はカリッとしていながら、中はプリプリとした弾力があり、噛むほどにジューシーな脂の旨みがジュワッと広がります。
このとろけるような口当たりから、「鶏肉の大トロ」と表現されることもあります。
名前の由来と地域ごとの呼び方(さんかく・テールなど)
「ぼんじり」という名前の由来は諸説ありますが、ひな祭りの歌に出てくる「ぼんぼり」の形に似ていることから名付けられたという説が有力です。
また、地域や店舗によっては様々な呼び名が存在します。
主な呼び名 | 由来 |
---|---|
さんかく | 三角形の形状から |
テール | 英語の「tail(尻尾)」から |
ぼんぼち | 主に関東地方での呼び名 |
ごんぼ | 一部の地域での呼び名 |
はな | 一部の地域での呼び名 |
オスとメスで味や食感に違いはある?
専門的なお店では、ぼんじりをオスとメスで区別して提供している場合があります。
一般的にオスのぼんじりは、メスに比べて筋肉質で引き締まった弾力のある食感が特徴です。
一方、メスは「みさき」と呼ばれることもあり、オスよりもサイズが大きく、より脂がのっていて柔らかい食感を楽しめます。
「ぼんじりは汚い」は誤解?衛生面の疑問に答えます

ぼんじりに対して「お尻の部位だから汚いのでは?」というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、それは誤解です。
ここでは、その衛生面の疑問について正確に解説します。
汚い・臭いと言われる原因は「油壷(あぶらつぼ)」
ぼんじりに特有の臭みの原因は、「油壷(あぶらつぼ)」または「尾腺(びせん)」と呼ばれる黄色い脂肪の塊です。
これは鶏が羽に油を塗って防水するために使う器官で、独特の強い香りがあります。
流通しているぼんじりでも、この油壷が残っている場合があり、これが「臭い」というイメージにつながっています。
適切に下処理で取り除けば、臭みは全く気にならなくなります。
肛門ではない?衛生的に処理されているので安全
ぼんじりは鶏の尻尾の先端部分であり、排泄器官である肛門とは異なります。
食肉処理の過程で、内臓などは衛生的にきちんと取り除かれます。
そのため、市場に流通しているぼんじりは、他の部位と同様に安全に食べることができます。
正しい下処理をすれば臭みなく美味しく食べられる
前述の通り、ぼんじりを美味しく味わう鍵は「油壷」と「骨」を取り除く下処理にあります。
この一手間を加えるだけで、特有の臭みは消え、ぼんじり本来のジューシーな旨みだけを堪能できます。
次の章で具体的な下処理方法を紹介しますので、ぜひ挑戦してみてください。
ぼんじりの美味しい食べ方|下処理から人気レシピまで

下処理さえマスターすれば、家庭でもお店のような美味しいぼんじり料理が楽しめます。
定番の焼き鳥からアレンジレシピまで、幅広くご紹介します。
家庭でできる!ぼんじりの下処理の簡単な方法
少し手間はかかりますが、手順は簡単です。
- 油壷を取り除く:ぼんじりの裏側(皮がない面)を開き、中央にある黄色っぽい豆のような塊(油壷)を指で押し出すか、包丁で切り取ります。
- 骨を取り除く:油壷を取り除いた後、中央に残っているV字型の骨に沿って、両側から包丁を入れ、骨を肉から切り離します。
- 余分な羽を除く:皮の表面に残っている羽の根元があれば、毛抜きなどで丁寧に取り除いて完了です。
定番の焼き鳥は塩とタレどっちが美味しい?
ぼんじりの焼き鳥は、塩とタレ、どちらも甲乙つけがたい魅力があります。
- 塩焼き:シンプルに塩で焼くことで、ぼんじりから出る脂の甘みと肉本来の旨みをダイレクトに味わえます。素材の味を楽しみたい方におすすめです。
- タレ焼き:甘辛いタレは、ぼんじりの濃厚な脂と相性抜群です。タレの香ばしさと脂のコクが絡み合い、ご飯もお酒も進む味わいになります。
【レシピ】外はカリカリ中はジューシーな唐揚げ
下処理したぼんじりに、醤油、酒、おろしにんにく、おろし生姜で30分ほど下味をつけます。
片栗粉をまんべんなくまぶし、170℃の油でじっくり火を通し、最後に180℃の高温で30秒ほど揚げると、表面はカリッと、中はジューシーに仕上がります。
【レシピ】フライパンで簡単!ネギ塩炒め
下処理したぼんじりを食べやすい大きさに切り、油を引かずにフライパンで炒めます。
ぼんじりから出てくる脂で長ネギを炒め、火が通ったら塩、こしょう、鶏がらスープの素で味を調えます。
お好みでレモン汁をかければ、さっぱりとしたおつまみの完成です。
【レシピ】旨味たっぷり!根菜との煮付け
ぼんじりの濃厚な旨みは、煮物にすると良い出汁になります。
大根やごぼう、にんじんなどの根菜と一緒に、醤油、みりん、砂糖、酒で甘辛く煮付けます。
ぼんじりのコクが野菜に染み渡り、深い味わいの一品になります。
ぼんじりの栄養とカロリー|食べ過ぎの注意点は?
美味しくてつい手が伸びてしまうぼんじりですが、食べる際にはカロリーや栄養についても知っておくと良いでしょう。
ぼんじりのカロリー・脂質は他の部位と比較して高い?
ぼんじりは、他の鶏肉の部位と比較してカロリーと脂質が突出して高い部位です。
部位 | カロリー(100gあたり) | 脂質(100gあたり) |
---|---|---|
ぼんじり | 約420kcal | 約40g |
鶏もも肉(皮つき) | 約200kcal | 約19g |
鶏むね肉(皮つき) | 約145kcal | 約5.9g |
このように、もも肉の約2倍、むね肉の約7倍もの脂質を含んでいます。
美味しさの源である脂ですが、食べ過ぎには注意が必要です。
含まれている主な栄養素(コラーゲン・ビタミンK)
高カロリーな一方で、ぼんじりには美容や健康に役立つ栄養素も含まれています。
特に、肌のハリを保つ効果が期待されるコラーゲンが豊富です。
また、骨の健康維持に欠かせないビタミンKも含まれており、栄養面でのメリットも持ち合わせています。
1日に食べても良い量は?1〜2本が目安
ぼんじりの脂質は非常に高いため、食べる量には気をつけたいところです。
成人男性の1日の脂質摂取目安量が約55g~75g程度であることを考えると、焼き鳥であれば1日に1~2本程度に留めておくのが賢明です。
他の食事とのバランスを考えながら、適量を美味しく楽しむようにしましょう。
安いぼんじりはどこで買える?業務スーパー・通販情報
家庭でもぼんじりを楽しみたい場合、どこで購入できるのでしょうか。
主な購入先とそれぞれの特徴をご紹介します。
業務スーパーのぼんじりは中国産?品質は大丈夫?
業務スーパーでは、冷凍のぼんじり焼き鳥串などが非常に安価で販売されています。
これらの商品の多くは中国産です。
中国は世界最大の鶏肉生産国であり、その規模の大きさから価格を抑えることが可能です。
品質については日本の基準に合わせて管理されていますが、産地にこだわりたい場合は購入前にパッケージの表示を確認することをおすすめします。
スーパーや精肉店で探すときのポイント
一般のスーパーでは、ぼんじりの取り扱いがない店舗も少なくありません。
鶏肉コーナーをよく探すか、見つからない場合は精肉店の店員さんに尋ねてみるのが確実です。
専門店であれば、新鮮で品質の良い国産のぼんじりが見つかる可能性が高くなります。
通販で買える下処理済みの国産ぼんじりもおすすめ
最近では、インターネット通販で手軽にぼんじりを購入できます。
通販のメリットは、国産のブランド鶏を選べたり、面倒な下処理がすでに済んでいる商品を選べたりする点です。
自宅にいながら高品質なぼんじりを手に入れられるため、調理の手間を省きたい方には特におすすめの方法です。
まとめ:ぼんじりが安い理由と美味しく楽しむ方法
この記事では、ぼんじりが安い理由から、その魅力、美味しい食べ方までを詳しく解説しました。
最後に、この記事の要点をまとめます。
- ぼんじりは鶏の尻尾の付け根にある希少部位である
- 安い理由は家庭での需要の少なさや下処理の手間にある
- 高カロリーなため健康志向の層から敬遠されがちである
- 焼き鳥以外の用途が少ないことも価格を抑える一因
- 「汚い」という印象は下処理で取り除く「油壷」が原因である
- 衛生的に処理されており肛門とは異なる部位である
- 焼き鳥や唐揚げ、炒め物など様々なレシピで楽しめる
- カロリーと脂質が高いため食べ過ぎには注意が必要である
- 業務スーパーや通販などを活用すれば手軽に購入可能である
- 正しい知識で調理すれば、安くて美味しい魅力的な食材である