スーパーでささみを見かけると、安くてつい手に取ってしまうことはありませんか。
高タンパク・低脂質で健康的なイメージがありながら、なぜこんなに安いのか不思議に思った方もいるかもしれません。
また、「むね肉とどっちがお得なの?」「安いけど栄養面はどうなの?」といった疑問も浮かびますよね。
この記事では、ささみが安いと言われる理由から、実は高いという意外な側面、そして賢い節約につながるむね肉との徹底比較まで、あなたの疑問にすべてお答えします。
これを読めば、ささみとむね肉を自在に使い分け、毎日の食卓をもっと豊かにできるでしょう。
ささみが「安い」と言われる3つの理由

ささみがスーパーで安く売られているのには、主に3つの理由があります。
鶏肉そのもののコスト、部位による需要の違い、そして販売形態が価格に影響を与えています。
理由1:そもそも原料の「鶏肉」が牛・豚肉より安価だから
ささみが安い最大の理由は、原料である「鶏肉」自体が、牛肉や豚肉に比べて安価な食肉だからです。
鶏は、牛や豚と比較して、一度に育てられる数が多く、成長に必要な日数も短いという特徴があります。
例えば、ブロイラー(食肉用の若鶏)は最短で47日ほどで出荷されますが、豚や牛は年単位での飼育が必要です。
また、1kgの肉を生産するために必要なエサ(穀物)の量も鶏は少なく済むため、生産コストを低く抑えられます。
このような生産効率の高さが、ささみを含む鶏肉全体の価格を手頃なものにしているのです。
理由2:一番人気の「もも肉」に比べて需要が少ないから
鶏肉の部位の中で、日本で最も人気が高いのは、ジューシーでコクのある「もも肉」です。
唐揚げや照り焼きなど、人気の家庭料理にもも肉が使われることが多く、常に高い需要があります。
一方で、ささみは高タンパク・低脂質という点で健康志向の人々からの需要が高まっていますが、もも肉の人気には及びません。
一般的に、市場価格は需要と供給のバランスで決まるため、需要が比較的少ない部位は価格が安くなる傾向にあります。
ささみの価格が手頃なのは、この需要の差も一因と言えるでしょう。
理由3:1パックの量が少なく、見た目の価格が安く見えるから
スーパーの値札を見て「ささみは安い」と感じる理由の一つに、1パックあたりの内容量が関係しています。
ささみは、もも肉やむね肉のパックに比べて、内容量が少なく設定されていることがほとんどです。
そのため、値札に表示される価格(パック単価)が低くなり、視覚的に「安い」という印象を与えます。
例えば、むね肉が360gで284円、ささみが220gで239円といった場合、一見するとささみのほうが安く感じられますが、これは量の違いによるものです。
【意外な事実】ささみは本当に安い?「実は高い」と言われる理由
一見すると安いささみですが、見方を変えると「実は高い」という側面も持っています。
その理由は、ささみが持つ希少性にあります。
100gあたりの値段で比較すると「むね肉」より高いケースが多い
パック全体の価格ではなく、同じ重さあたりの価格、つまり「100gあたりの単価」で比較すると、ささみはむね肉よりも割高な場合が少なくありません。
先ほどの例で計算すると、むね肉は100gあたり約79円ですが、ささみは100gあたり約109円となり、30円もの差が生まれます。
お肉をお得に購入したい場合は、値札の大きな数字だけでなく、小さく書かれている「100gあたりの価格」を確認することが非常に重要です。
このひと手間で、本当にお得な商品を見極めることができます。
なぜ高い?鶏1羽から2本しか取れない希少部位だから
ささみが100gあたりの価格でむね肉より高くなる理由は、鶏1羽から取れる量が極端に少ないためです。
ささみは、むね肉の奥にある「小胸筋」という部位で、胸骨に沿って左右に1本ずつ、合計2本しかありません。
1羽の鶏から取れるささみの量は、わずか100g程度です。
これに対し、むね肉は「大胸筋」という大きな筋肉で、1羽から400g以上取ることができます。
つまり、ささみは鶏肉の中では「希少部位」にあたるため、供給量が限られ、結果として単価が高くなるのです。
ささみ vs むね肉 どっちがお得?5つの視点で徹底比較

ささみとむね肉は、どちらもヘルシーで人気の部位ですが、特徴が異なります。
価格、栄養、食感など5つの視点から両者を比較し、どちらがあなたの目的に合っているかを見ていきましょう。
【価格】1パックと100gあたりの値段、結局どっちが安いの?
価格については、何を基準にするかで安さが変わります。
「1パックあたりの支払額」を安く抑えたい場合は、内容量の少ないささみが適しています。
一方で、「同じ量を購入する場合のコストパフォーマンス」を重視するなら、100gあたりの単価が安いむね肉の方がお得です。
特売の対象になりやすいのもむね肉なので、節約を考えるならチラシをチェックしてむね肉を狙うのが賢い選択と言えるでしょう。
【栄養】タンパク質・脂質・カロリーの違いは?ダイエット向きはどっち?
栄養面では、どちらも高タンパク・低脂質ですが、わずかな違いがあります。
部位(100gあたり) | タンパク質 | 脂質 | カロリー |
---|---|---|---|
ささみ | 23.9g | 0.8g | 98kcal |
むね肉(皮なし) | 23.3g | 1.9g | 105kcal |
※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より
上の表の通り、ささみはむね肉よりもさらに脂質とカロリーが低いです。
タンパク質量に大きな差はないため、脂質を極力抑えたいダイエット中の方や、厳しい体重コントロールをしている方には、ささみがより適していると言えます。
【食感】どっちがパサパサしやすい?しっとり仕上げるコツ
調理後の食感については、「むね肉の方がパサパサしやすい」傾向があります。
これは、むね肉がささみより厚みがあって火が均一に通りにくいことや、水分が逃げやすい性質を持つためです。
もちろん、ささみも加熱しすぎると硬くなりますが、火の通りが早い分、調理はしやすいでしょう。
パサつきを防ぐには、むね肉は調理前にフォークで刺したり、砂糖や塩麹に漬け込んだりするのが効果的です。
ささみは、加熱前に筋をしっかり取り除くこと、そして茹でる際は沸騰したお湯に入れたらすぐに火を止め、余熱で火を通すとしっとり仕上がります。
【健康成分】疲労回復効果が期待される「イミダペプチド」の含有量は?
近年注目されている健康成分「イミダペプチド」は、渡り鳥が長時間飛び続けられる力の源とされ、抗酸化作用や疲労回復効果が期待されています。
このイミダペプチドは、鶏肉のなかでも特に「むね肉」に豊富に含まれています。
トレーニング後のリカバリーや、日常的な疲れを感じている方は、イミダペプチドの摂取を目的としてむね肉を積極的に選ぶのがおすすめです。
【結論】コスパ重視なら「むね肉」、脂質カットなら「ささみ」がおすすめ
これまでの比較をまとめると、選び方の結論は以下のようになります。
- むね肉がおすすめな人:食費を節約したい、ボリュームのある料理を作りたい、疲労回復効果を期待したい
- ささみがおすすめな人:徹底的に脂質をカットしたい、ダイエット効果を重視したい、調理時間を短縮したい
それぞれの長所を理解し、その日の目的やメニューに合わせて賢く使い分けることが、最もお得で健康的な選択と言えるでしょう。
安いささみを美味しく使いこなす!選び方から調理法まで

価格の秘密がわかったところで、次は安いささみを最大限美味しく食べるためのコツをご紹介します。
簡単なポイントを押さえるだけで、ささみ料理が格段にレベルアップします。
スーパーで役立つ!新鮮なささみの見分け方
新鮮で美味しいささみを選ぶポイントは、「弾力」と「色」です。
パックの上から軽く指で触れてみて、跳ね返すような弾力があるものを選びましょう。
時間が経ったささみは水分が出て水っぽくなり、肉の張りが失われます。
また、色は透明感のあるきれいなピンク色のものが新鮮な証拠です。
面倒な「筋取り」を簡単にする裏ワザ
ささみの中央にある白い筋は、加熱すると縮んで肉が硬くなる原因になるため、調理前に取り除くのがおすすめです。
包丁を使う場合は、筋の両側に浅く切り込みを入れ、筋の端を包丁の背でしごくようにすると綺麗に取れます。
もっと簡単な方法として、フォークも活用できます。
筋の先端をフォークの間に通し、キッチンペーパーなどで筋を掴んで手前に引くだけで、簡単に取り除くことが可能です。
パサつきを防ぐ!しっとり柔らかく仕上げる加熱のコツ
ささみをパサつかせずに調理するには、下処理と加熱方法が鍵となります。
調理前に片栗粉をまぶしたり、砂糖をもみ込んだりすると、肉の水分がコーティングされてしっとり仕上がります。
茹でる場合は、塩を加えたお湯で1分ほど加熱したら火を止め、蓋をして8〜10分ほど余熱で火を通すのが黄金ルールです。
この方法なら、驚くほど柔らかくジューシーなささみになります。
今日から使える!ささみの人気レシピ3選
ささみはその淡白な味わいから、和え物、焼き物、揚げ物まで幅広い料理に活用できます。
- ささみときゅうりの梅和え:茹でてほぐしたささみと、きゅうりを梅肉で和えるだけの簡単副菜。さっぱりとして食欲がない時にもおすすめです。
- ささみのしそチーズ焼き:開いたささみに大葉とチーズを挟んで焼くだけ。お弁当のおかずにもぴったりです。
- ささみの唐揚げ:もも肉よりヘルシーながら、満足感のある一品。下味をしっかりつけるのが美味しく作るコツです。
ささみに関するよくある質問

最後に、ささみに関して多くの方が抱く疑問にお答えします。
ささみは鶏のどこの部位?むね肉との違いは?
ささみは、鶏の胸の部分にある肉ですが、むね肉(大胸筋)のさらに内側、胸骨に沿って存在する「小胸筋」という筋肉です。
笹の葉に似た細長い形をしていることから「ささみ」と呼ばれています。
むね肉が体を動かすための大きな筋肉であるのに対し、ささみは翼を動かすための筋肉の一部です。
料理でささみとむね肉は代用できる?
はい、多くの料理で代用は可能です。
どちらも淡白な味わいなので、味付けを大きく変える必要はありません。
ただし、むね肉はささみより厚みがあるため、ささみのレシピに使う際は、薄くそぎ切りにしたり、観音開きにしたりして厚みを均一にする工夫をすると良いでしょう。
ささみの上手な冷凍保存方法と期間の目安は?
ささみを冷凍保存する場合は、まずキッチンペーパーで表面の水分をしっかりと拭き取ります。
次に、1本ずつラップでぴったりと包み、冷凍用保存袋に入れて空気を抜いてから冷凍庫へ入れましょう。
この方法で、約2週間から1ヶ月はおいしさを保つことができます。
調理前に筋取りなどの下処理をしておくと、解凍後すぐに使えて便利です。
まとめ:ささみはなぜ安いのか、その理由を総まとめ
- ささみが安い主な理由は鶏肉自体の安さ、需要、パック容量の3点
- 鶏は牛豚より飼育期間が短く飼料効率が良いため安価
- 日本ではもも肉の人気が高く、ささみの需要は比較的少ない
- 1パックの内容量が少ないため値札の価格が安く見える
- 100gあたりの価格で比較すると、むね肉より高い場合がある
- ささみは鶏1羽から2本しか取れない希少部位である
- 栄養面ではむね肉より低脂質・低カロリーでダイエットに適する
- タンパク質量はむね肉とささみで大きな差はない
- 疲労回復成分イミダペプチドはむね肉に多く含まれる
- コストパフォーマンスを重視するならむね肉がおすすめである