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スペイン産豚肉が安い理由とは?安全性や味、美味しい食べ方も解説

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スーパーの精肉コーナーで、国産豚肉の隣に並ぶ、ひときわ価格の安いスペイン産豚肉。

「どうしてこんなに安いの?」「もしかして美味しくないとか、安全じゃないとか…?」と、手に取るのをためらってしまう方もいるかもしれません。

しかし、その安さには明確な理由があり、現在のスペイン産豚肉は、かつての「安かろう悪かろう」というイメージを覆すほど品質が向上しています。

この記事では、スペイン産豚肉が安い理由から、気になる味や安全性、そしてその美味しさを最大限に引き出す調理法まで、徹底的に解説します。

この記事を読めば、スペイン産豚肉に対する疑問や不安が解消され、自信を持って食卓に取り入れられるようになるでしょう。

目次

スペイン産豚肉が安い3つの理由とは?

スペイン産の豚肉が手頃な価格で販売されているのには、主に3つの明確な理由があります。

生産コスト、輸入方法、そして国際的な協定が大きく関係しています。

理由①:広大な土地と安い飼料で生産コストが低いから

豚肉の価格を左右する最大の要因は、生産コストの約6割を占める「飼料代」です。

日本は飼料となるトウモロコシや大豆のほとんどを輸入に頼っているため、飼料代が高くなる傾向にあります。

一方、スペインはEUの中でも有数の穀物生産国であり、自国で安価な飼料を安定的に確保できます。

さらに、広大な土地を利用した大規模な養豚経営(スケールメリット)により、一頭あたりの生産コストを大幅に抑えることが可能なのです。

理由②:日本が好きな部位だけを輸入できる「パーツ買い」だから

日本の小売店が国産豚肉を仕入れる際は、基本的に「一頭買い」が主流です。

そのため、ロースやバラといった人気部位だけでなく、日本ではあまり需要のない部位もまとめて購入しなければなりません。

結果として、不人気部位のコストが人気部位の価格に上乗せされてしまいます。

対して輸入豚肉は、日本で人気の高いロース、バラ、肩ロースといった部位だけを選んで輸入する「パーツ買い」が可能です。

需要の高い部位だけを効率よく仕入れられるため、無駄なコストがかからず、販売価格を安く抑えることができるのです。

理由③:日本とEUの経済連携協定(EPA)で関税が下がったから

2019年に発効された「日・EU経済連携協定(EPA)」も、スペイン産豚肉の価格に影響を与えています。

この協定により、これまで豚肉にかけられていた関税が段階的に引き下げられました。

関税という輸入コストが削減されたことで、以前よりもさらに手頃な価格で日本の消費者に届けられるようになったのです。

安いのはイベリコ豚だから?スーパーで見かける豚肉の正体とランク

「スペイン産の豚肉」と聞くと、高級な「イベリコ豚」を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、スーパーで安価に売られている豚肉は少し事情が異なります。

実は「スペイン産=イベリコ豚」ではない

まず知っておきたいのは、「スペイン産豚肉のすべてがイベリコ豚ではない」ということです。

スペインで生産されている豚肉の多くは、私たちが普段から食べ慣れている「白豚」です。

イベリコ豚は、スペイン産の豚肉の中でも特別な飼育法で育てられたブランド豚であり、生産量も限られています。

そのため、スーパーで日常的に安く売られているのは、主にこの「白豚」と考えた方がよいでしょう。

安いイベリコ豚の正体は穀物肥育の「セボ」ランク

もし「イベリコ豚」と表示されているにも関わらず価格が安い場合は、そのランクに注目する必要があります。

イベリコ豚は、飼育方法や飼料によって厳格にランク分けされており、ランクによって価格が大きく異なります。

ラベルの色等級飼育方法飼料特徴
ベジョータ 100%放牧どんぐり、自然の産物最高級ランク。純血100%。
ベジョータ放牧どんぐり、穀物飼料どんぐりを食べて育つ。血統は50%以上。
セボ・デ・カンポ放牧穀物飼料、自然の産物放牧で育つが主食は穀物。
セボ屋内肥育穀物飼料屋内で穀物のみで育つ。最も安価。

スーパーなどで手頃な価格で販売されているイベリコ豚は、ほとんどが「セボ」ランクのものです。

「ベジョータ」のような芳醇な風味とは異なりますが、イベリコ豚ならではの脂の美味しさを手軽に楽しめるのが魅力です。

血統(純血率)や部位によっても価格は大きく変わる

イベリコ豚の価格は、ランクだけでなく血統にも左右されます。

最高級の「ベジョータ 100%」はイベリコ種純血100%ですが、他のランクでは生産効率の良いデュロック種などを交配させた豚(純血率50%や75%)も「イベリコ豚」として認められています。

純血率が低いほど価格は安くなる傾向があります。

また、当然ながらヒレやプルマ(希少部位)などの部位は高価になり、切り落としやバラなどは比較的安価になります。

スペイン産豚肉はまずい?臭い?味に関する評判の真相

「外国産の豚肉は美味しくない」というイメージを持つ方も少なくありません。

しかし、そのイメージは少し古い情報かもしれません。現在の輸入豚肉は、品質が格段に向上しています。

「まずい・パサパサ」は昔の冷凍ポークのイメージが原因?

かつて1980年代に輸入が始まった頃の外国産豚肉は、そのほとんどが「冷凍ポーク」でした。

当時の冷凍・輸送技術はまだ未熟で、解凍時にドリップ(赤い肉汁)が大量に出てしまい、旨味成分が失われがちでした。

このドリップの流出が、加熱すると肉が硬くパサパサになる主な原因でした。

この頃の「輸入豚肉は美味しくない」というイメージが、今でも根強く残っていると考えられます。

現代の主流は旨味を逃さない高品質な「チルドポーク」

現在、日本のスーパーで販売されている輸入豚肉の多くは、一度も冷凍されることなく冷蔵状態で輸送される「チルドポーク」です。

チルドポークは、産地から日本までの長い輸送期間中、真空パックされた状態でゆっくりと熟成されます。

これは「ウェットエイジング」と呼ばれ、肉の酵素の働きでタンパク質が分解され、旨味成分であるアミノ酸が増加し、肉質も柔らかくなるというメリットがあります。

さらに近年では、日本の消費者の好みに合わせて豚の品種や飼料を改良する動きが進んでおり、国産に引けを取らない美味しい豚肉が生産されています。

臭みや品質のバラつきは「冷凍焼け」の可能性も

それでも、購入したスペイン産豚肉が「臭い」「パサパサする」と感じる場合、それは「冷凍焼け」が原因かもしれません。

これはチルドで輸入された後、小売店のバックヤードや家庭の冷凍庫などで一度冷凍・解凍されたり、冷凍庫内の温度変化に晒されたりすることで発生します。

冷凍焼けを起こすと、肉の水分が失われて食感が悪くなるだけでなく、脂が酸化して臭みの原因にもなります。

豚肉そのものの品質というよりは、流通・保管の過程で品質が落ちてしまった可能性が考えられます。

スペイン産豚肉の安全性は?国産と比較して危険はないのか

価格が安いと、次に気になるのが「安全性」です。

結論から言うと、スペイン産豚肉の安全性は非常に高く、国産豚肉と比較しても心配する点はほとんどありません。

ホルモン剤・成長促進剤はEUの厳しい基準で「使用禁止」

スペインが加盟しているEU(ヨーロッパ連合)では、家畜への成長ホルモン剤や、赤身を増やすための飼料添加物(ラクトパミンなど)の使用が法律で厳しく禁止されています。

これは消費者の健康を守るための非常に厳しい基準であり、違反すれば輸出停止などの重い罰則が科せられます。

ちなみに、日本の畜産でもホルモン剤の使用は認められていません。

抗生物質の使用量は日本とほぼ同レベルで適正

病気の予防や治療のために使われる抗生物質についてはどうでしょうか。

2020年のデータによると、家畜1kgあたりの抗生物質使用量は、スペインが「79mg/PCU」、日本が「63mg/PCU」と、ほぼ同程度の水準です。

抗生物質の乱用は薬剤耐性菌のリスクを高めますが、現在のスペインの使用量は適正な範囲内であり、過度に心配する必要はないと言えるでしょう。

アニマルウェルフェア(動物福祉)は日本より進んでいる?

家畜の飼育環境も、肉の品質や安全性に関わる重要な要素です。

「アニマルウェルフェア(動物福祉)」という考え方において、スペインはEUが定めた動物福祉規定に従っており、家畜がストレスなく健康に育つための環境が整備されています。

国際的な動物保護団体による評価(Animal Protection Index 2020)では、農業動物の保護に関する項目でスペインが「D評価」であるのに対し、日本は「G評価」となっており、法律や規定の整備という点ではスペインの方が進んでいる側面もあります。

【結論】国産と比べても安全性に大きな心配はない

以上の点から、スペイン産豚肉はEUの厳格な安全基準のもとで生産・管理されており、国産豚肉と比べても安全性に遜色はないと言えます。

過去にはスペインの一部農場で不適切な飼育環境が問題になったこともありますが、それはあくまで例外的な事例です。

全体として、消費者への安全・安心を届けるための仕組みがしっかりと整っています。

安いスペイン産豚肉を絶品にする!臭みを消して美味しく食べる調理法

スペイン産豚肉は、調理法を少し工夫するだけで、その魅力を最大限に引き出すことができます。

価格を抑えつつ、美味しい料理を作るためのヒントをご紹介します。

臭みが気になる時の下処理方法(酒・香味野菜・ハーブ)

もし購入した豚肉の臭みが気になる場合は、簡単な下処理で解消できます。

調理前に15分ほど料理酒や牛乳に漬け込むと、臭み成分が和らぎます。

炒め物にするなら、生姜やニンニクといった香味野菜と一緒に調理するのも効果的です。

また、豚肉と相性の良いローズマリーやタイムなどのハーブを使ってソテーすれば、本格的な味わいになります。

硬さやパサつきが気になるなら煮込み料理(角煮・カレー)がおすすめ

赤身が多い部位や、少し硬さが気になる豚肉は、じっくり煮込む料理に最適です。

豚の角煮やポークカレー、トマト煮込みなどにすれば、時間をかけるほど肉がホロホロと柔らかくなり、旨味がスープに溶け出して料理全体が美味しく仕上がります。

圧力鍋を使えば、時間も短縮できて便利です。

脂の甘みを活かすなら「豚しゃぶ」や「生姜焼き」でシンプルに

スペイン産の豚肉、特に「栗豚」などは、脂身に上品な甘みがあるのが特徴です。

この脂の美味しさを味わうなら、豚しゃぶや生姜焼き、シンプルな豚バラ炒めなど、あまり手を加えすぎない調理法がおすすめです。

素材の味を活かすことで、国産豚肉とはまた違った美味しさを発見できるでしょう。

スペイン産豚肉はどこで買える?ロピアや業務スーパーなど取扱店情報

スペイン産豚肉は、今や多くのスーパーマーケットで手軽に購入できます。

代表的な取扱店とその特徴を見ていきましょう。

話題のスーパー「ロピア」では栗を食べて育った「栗豚」も人気

「激安スーパー」として人気のロピアは、精肉コーナーが非常に充実しています。

中でもスペイン産の「栗豚」は、ロピアの人気商品の一つです。

その名の通り、飼料に栗を加えて育てられた豚で、脂身にあっさりとした甘みがあり、豚肉特有の臭みが少ないのが特徴です。

プルコギなどの味付け肉としても販売されており、手軽に美味しい一品が作れると評判です。

イオンや業務スーパーでの取り扱いと価格の目安

全国展開しているイオングループのスーパーや、大容量・低価格が魅力の業務スーパーでも、スペイン産豚肉は定番商品として扱われています。

価格は店舗や時期によって変動しますが、一般的に国産豚肉よりも2~3割ほど安く、100gあたり100円前後で購入できることも珍しくありません。

セール時にはさらにお得になることもあります。

アメリカ産やカナダ産など他の外国産豚肉との違いは?

スーパーでは、スペイン産以外にもアメリカ産やカナダ産の豚肉がよく売られています。

アメリカ産は、日本人好みのジューシーな肉質になるよう穀物飼料で育てられているものが多く、イオンなどでも主力商品として扱われています。

カナダ産は、ハイライフポークに代表されるように、早くから日本市場向けに品種改良を進めており、品質の高さに定評があります。

スペイン産は、これらの国と同様に高品質な白豚を生産しているほか、イベリコ豚のような特徴的なブランド豚を輸出している点が大きな違いと言えるでしょう。

【Q&A】スペイン産豚肉に関するよくある質問

最後に、スペイン産豚肉について多くの方が抱く疑問にQ&A形式でお答えします。

Q. 結局、スペイン産豚肉は「買い」ですか?

はい、結論としては「買い」と言えます。

安いだけでなく、EUの厳しい基準で管理された高い安全性と、日本人向けに改良された美味しさを兼ね備えています。

特に日常の家庭料理で量を気にせず使いたい場合には、非常にコストパフォーマンスの高い選択肢となるでしょう。

Q. 美味しいスペイン産豚肉の見分け方はありますか?

美味しい豚肉を選ぶ基本的なポイントは国産と同じです。

まず、パックの中にドリップ(赤い肉汁)が出ていないかを確認してください。

肉の色は、つやのあるきれいなピンク色のものを選びましょう。

また、脂身は真っ白で、適度に弾力がありそうなものが新鮮な証拠です。

これらの点に注意すれば、品質の良い豚肉を選べる可能性が高まります。

Q. 国産と外国産、どちらを選ぶべき?

どちらが良いかは、何を重視するかによります。

価格の手頃さを最優先するなら、スペイン産を含む外国産豚肉がおすすめです。

一方、生産地が近いことによる鮮度や、「国産」という安心感を重視するなら国産豚肉が良いでしょう。

それぞれのメリットを理解し、その日のメニューや予算に合わせて賢く使い分けるのが賢い選択と言えます。

まとめ:スペイン産豚肉が安い理由と安全性

  • スペイン産豚肉は安い飼料代と大規模経営により生産コストが低い
  • 日本が人気部位だけを輸入できる「パーツ買い」も安い理由の一つである
  • 日EU・EPAにより関税が引き下げられ、さらに安価になった
  • スーパーの安い豚肉は「白豚」であり、必ずしもイベリコ豚ではない
  • 安価なイベリコ豚は屋内穀物肥育の「セボ」ランクであることが多い
  • 現在の主流は冷凍しない「チルドポーク」で、輸送中に熟成され美味しくなる
  • EUの厳しい基準によりホルモン剤や成長促進剤は使用されていない
  • 抗生物質の使用量は日本と同水準で、安全性は国産に引けを取らない
  • 脂の甘みを活かすシンプルな調理法や、硬さが気になる場合の煮込み料理がおすすめである
  • 品質、安全性、価格のバランスが取れており、日常使いに最適な食材といえる
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