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Z32はなぜ安い?不人気の真相と現在の価格高騰の理由

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かつて日産が誇るスポーツカーとして一世を風靡したフェアレディZ Z32型。

一時期は「不人気」「ゴキブリ」などと揶揄され、中古車市場で驚くほど安い価格で取引されていました。

しかし、近年その評価は一変し、価格は高騰傾向にあります。

この記事では、なぜZ32が安いと言われたのか、その歴史的背景からデザインや性能面の評価、そして現在の価格が高騰している理由までを徹底的に解説します。

Z32の購入を検討している方や、90年代スポーツカーの動向に興味がある方が知りたい情報を網羅的にお届けします。

目次

結論:フェアレディZ(Z32)が「安い」と言われた理由と現在の価格動向

かつてZ32の中古車が安かった3つの主な理由とは?

Z32型フェアレディZがかつて安価で取引されていた主な理由は、大きく3つあります。

第一に、エンジンルームが非常に狭く、熱がこもりやすい構造に起因する「整備性の悪さ」です。

第二に、豪華装備による「車体の重さ」で、特にNAモデルでは走行性能に物足りなさを感じるという評価がありました。

そして第三に、従来のZシリーズとは一線を画す先進的なデザインが「Zらしくない」とされ、賛否が分かれた点が挙げられます。

これらの要因が重なり、中古車市場での価格が伸び悩む一因となっていました。

現在の中古車相場は?実は価格が高騰しているという事実

かつては50万円前後でも購入可能だったZ32ですが、現在の状況は全く異なります。

2020年頃から価格は上昇を始め、現在では状態の良い個体であれば150万円から300万円、希少なグレードや低走行車に至ってはそれ以上の価格で取引されることも珍しくありません。

この価格高騰は、Z32が「安いクルマ」から「価値あるネオクラシックカー」へと市場での評価を大きく変えたことを示しています。

なぜ今、Z32の価格は値上がりしているのか?

Z32の価格が現在高騰している最大の理由は、海外、特にアメリカでの需要が急増したことにあります。

製造から25年が経過した車両の輸入規制が緩和される「25年ルール」の対象となったことで、日本国内仕様のZ32が注目を集めました。

加えて、世界的な90年代日本製スポーツカー(JDM)ブームや、経年により状態の良い車両の流通台数が減少したことによる希少価値の高まりも、価格を押し上げる大きな要因となっています。

なぜZ32は「不人気」「ゴキブリ」と呼ばれ安かったのか?

「ゴキブリ」と揶揄された独特のデザイン評価の真相

Z32が一部で「ゴキブリ」と呼ばれたのは、そのワイド&ローで滑らかなフォルムと、特に人気だった黒いボディカラーが、地面を這うような独特の印象を与えたためです。

これは決して公式な名称ではなく、あくまで俗称ですが、それだけ個性的でインパクトのあるデザインだったことの裏返しとも言えます。

一方で、そのデザインは海外で高く評価されており、ランボルギーニ・ディアブロの後期型にZ32のヘッドライトが流用された事実は、デザインの完成度の高さを物語っています。

ライバル車(GT-R・スープラ)の影に隠れた不人気モデルだった?

Z32が登場した1990年代は、R32スカイラインGT-R、80スープラ、FD3S RX-7といった伝説的なライバルがひしめく国産スポーツカーの黄金期でした。

これらのライバルがレースシーンやメディアで華々しい活躍を見せる中、Z32はやや影の薄い存在となりがちでした。

パフォーマンス面で直接比較されることが多く、相対的に評価が低く見られ、「不人気」というイメージが定着していった側面があります。

「遅い」「重い」と言われた走行性能に対する当時の評価

Z32に対して「遅い」という評価が聞かれることがありますが、これは主に自然吸気(NA)モデルに向けられたものでした。

豪華な内装や装備によって車両重量が1,450kg前後と重く、NAエンジンの230馬力では加速が物足りないと感じるユーザーがいたのは事実です。

しかし、ツインターボモデルは最高出力280馬力を誇り、直線加速では当時の国産車トップクラスの性能を持っていました。

「重い」という点は事実ですが、その分、高速巡航時の安定性は高く評価されていました。

整備性の悪さと熱問題が価格を下げた大きな要因

Z32の価値を語る上で避けて通れないのが、整備性の悪さです。

特にツインターボモデルのV6エンジン(VG30DETT)は、コンパクトなエンジンルームにぎっしりと詰め込まれており、少しの修理でも多くの部品を脱着する必要がありました。

これにより作業工賃が高額になりがちだったのです。

また、熱がこもりやすい構造のため、エンジンルーム内のゴム部品や電気系統の劣化が早く、維持していく上で手間と費用がかかることが、中古車価格を押し下げる大きな要因となっていました。

Z32の中古車相場はどう変わった?激安時代から現在までの価格推移

数十万円で買えた?2000年代~2010年代の激安相場を振り返る

2000年代中盤から2010年代にかけて、Z32の中古車市場はまさに「激安」と呼べる状況でした。

当時は50万円前後で走行可能な個体を見つけることができ、中には10万円を切るような価格で売買されるケースもありました。

この時期は、スポーツカー人気が低迷していたことや、Z32特有の維持の難しさから、多くの車両が手放され、市場に溢れていた時代背景があります。

現在の価格帯はいくら?NA・ツインターボ別の最新相場

前述の通り、現在のZ32の価格は高騰しています。

中古車市場における大まかな価格帯は以下のようになっています。

モデル状態価格帯の目安
NAモデル走行距離10万km前後、程度良好100万円~200万円台
ツインターボモデル走行距離少なめ、整備履歴充実200万円~300万円以上
レストア済み・希少車300万円を超えることも珍しくない

特に状態の良いツインターボ・MT車は非常に人気が高く、価格上昇が顕著です。

価格高騰の最大の理由「アメリカの25年ルール」とは?

アメリカには、製造から25年を経過した右ハンドル車などの輸入規制を大幅に緩和する、通称「25年ルール」という制度が存在します。

1989年に登場したZ32は、2014年以降、このルールの対象となり始めました。

これにより、アメリカのJDMファンやコレクターが、日本国内で流通している状態の良いZ32を積極的に購入するようになり、国内の在庫が減少。

結果として、需要と供給のバランスが崩れ、価格が高騰する直接的な引き金となりました。

90年代JDMブームと流通台数の減少が価格を押し上げている

「25年ルール」に加え、映画やゲームの影響で世界的に巻き起こっている90年代日本製スポーツカー(JDM)ブームもZ32の価格高騰を後押ししています。

GT-Rやスープラが驚異的な価格になる中、比較的手が届きやすかったZ32にも注目が集まりました。

また、生産終了から20年以上が経過し、事故や経年劣化で廃車になる個体が増え、市場に残る良質な車両が年々減少していることも、希少価値を高め、価格を押し上げる要因となっています。

Z32は「やめとけ」は本当?購入前に知るべき注意点と維持費

Z32の中古車購入で失敗しないためのチェックポイント一覧

Z32は魅力的なクルマですが、年式が古いため購入には注意が必要です。

失敗しないためには、以下のポイントを必ず確認しましょう。

  • 整備履歴の有無: 定期的なメンテナンス記録が残っているか。特にタイミングベルトや冷却系の交換履歴は重要です。
  • カスタム内容: 過度な改造がされていないか。純正部品の有無も確認。
  • Tバールーフの雨漏り: Tバールーフ装着車は、ウェザーストリップの劣化による雨漏りが定番のトラブルです。
  • 内外装の状態: ダッシュボードの浮きやシートの劣化、塗装の状態を確認。
  • 電装系の動作: パワーウィンドウやエアコン、各種スイッチ類が正常に作動するか。
  • サビの有無: サイドシルやリアハッチ周りなど、サビが発生しやすい箇所をチェック。

特に注意すべきツインターボモデルの弱点と確認事項

パワフルなツインターボモデルは特に人気ですが、弱点も存在します。

エンジンルームの熱がこもりやすいため、オーバーヒートや熱による部品劣化のリスクがNAモデルより高くなります。

購入時には、タービン周辺からのオイル漏れや白煙の有無、ラジエーターやホース類の劣化状態を念入りに確認することが不可欠です。

整備記録がしっかりしており、熱対策が施されている車両を選ぶと安心材料になります。

年間維持費はいくらかかる?税金・保険・修理代のリアルな内訳

Z32の年間維持費は、車両の状態や乗り方によって大きく変わりますが、一般的に50万円から60万円程度を見込んでおくと良いでしょう。

内訳としては、自動車税(割り増し)、重量税、自賠責保険、任意保険に加え、ガソリン代(燃費は平均7km/L前後)が大きな割合を占めます。

さらに、古いクルマであるため、予期せぬ故障による修理費用も考慮しておく必要があります。

パワステ系統や電装系のトラブルは定番であり、修理には数万円から十数万円かかることもあります。

エンジンオーバーホール費用の実態と高額になる理由

走行距離が伸びたZ32で検討が必要になるのが、エンジンオーバーホールです。

VG30エンジンのオーバーホール費用は非常に高額で、専門ショップに依頼した場合、180万円から225万円程度が相場とされています。

高額になる理由は、V型6気筒という複雑な構造で部品点数が多いこと、作業に専門的な知識と技術を要するため工賃が高くなること、そして一部の純正部品が廃盤になりつつあることなどが挙げられます。

安心してZ32を任せられる専門店の見つけ方

Z32を良好なコンディションで維持するためには、信頼できる整備工場の存在が不可欠です。

全国には「ZONE(ゾーン)」のようにZ32を専門的に扱うショップも存在します。

一般的な中古車販売店や整備工場では対応が難しいケースも多いため、Z32や90年代の日産車に関する知識と経験が豊富な専門店や、旧車のメンテナンス実績が豊富なショップを探すことが、長く乗り続けるための重要な鍵となります。

Z32は今こそ再評価されるべき名車?時代が追いついた魅力とは

ランボルギーニも採用した先進的なデザインの価値

Z32のデザインが先進的であったことを示す最も有名なエピソードが、イタリアのスーパーカー「ランボルギーニ・ディアブロ」へのヘッドライトユニット供給です。

1999年以降のディアブロ後期型には、Z32の固定式プロジェクターヘッドライトがほぼそのまま流用されました。

これは、Z32のデザインが世界的なスーパーカーメーカーに認められるほどの完成度と普遍的な魅力を持っていたことの証明と言えるでしょう。

Z32は本当に「かっこわるい」のか?現代の視点での再評価

登場当時は、伝統的なZのフォルムから大きく変わったことで賛否両論を巻き起こしたZ32のデザインですが、時代を経てその評価は大きく変わりつつあります。

直線基調のデザインが多かった80年代から、流線型で未来的なフォルムへと舵を切ったスタイルは、今見るとむしろ新鮮で先進的に映ります。

ワイド&ローの迫力あるスタンスは現代のスポーツカーにも通じるものがあり、「かっこわるい」という過去の評価は、今や「個性的で魅力的なデザイン」として再評価されています。

一部のオーナーが行う「リトラ化」カスタムと車検の問題

Z32は固定式ヘッドライトが特徴ですが、一部のオーナーの間では、社外パーツを用いてリトラクタブルヘッドライト化する「リトラ化」というカスタムが行われることがあります。

これにより、Z31型以前のようなクラシカルな雰囲気を楽しむことができます。

ただし、このようなカスタムを施した車両が車検に通るかどうかは注意が必要です。

ヘッドライトの光量や高さ、動作の安定性などが保安基準に適合している必要があり、場合によっては構造変更申請が求められるなど、ハードルは決して低くありません。

ネオクラシックカーとしてのアナログな運転の楽しさ

現代のクルマが電子制御化を進める中で、Z32のような90年代のスポーツカーは、ABSやパワーステアリングといった基本的な装備は備えつつも、過度な電子デバイスに頼らない「アナログな運転感覚」が魅力として再評価されています。

エンジンの鼓動や路面からのインフォメーションがダイレクトに伝わり、クルマを操る楽しさを存分に味わうことができる点は、Z32がネオクラシックカーとして多くのファンを惹きつける大きな理由の一つです。

まとめ:z32がなぜ安いと言われたかの真相

Z32が安かった理由と高騰している理由の最終確認

Z32が過去に安かったのは、整備性の悪さ、重い車体、そして独特なデザインが主な理由でした。

しかし、現在は「25年ルール」による海外需要の激増、世界的なJDMブーム、そして流通台数の減少による希少価値の高まりという複合的な要因によって、価格が高騰しています。

もはやZ32は「安いスポーツカー」ではなく、その価値を正当に評価される「ネオクラシックカー」へと変貌を遂げたのです。

今後もZ32の価値は上がり続けるのか?将来性を予測

90年代国産スポーツカー全体の人気が続く限り、Z32の資産価値は高値を維持、あるいはさらに上昇する可能性が高いと考えられます。

特に状態の良いツインターボ・MT車は、今後も希少性を増していくでしょう。

ただし、懸念点としては純正部品の供給問題があります。

部品の確保が困難になれば、維持することが難しくなり、長期的な相場に影響を与える可能性も否定できません。

Z32の購入を検討しているあなたへの最後のアドバイス

Z32は、唯一無二のデザインとアナログなドライブフィールを持つ、非常に魅力的なクルマです。

しかし、その魅力を享受するためには、車両価格だけでなく、購入後の維持費やメンテナンスにかかる手間とコストを十分に理解しておく必要があります。

焦らずに信頼できる個体と、長く付き合える専門ショップを見つけることが、後悔のないZ32ライフを送るための最も重要なステップとなるでしょう。

  • Z32がかつて安かったのは、整備性の悪さ、重い車体、独特なデザインが主な理由である
  • 現在はアメリカの「25年ルール」による海外需要の急増で価格が高騰している
  • ワイド&ローな黒いボディから「ゴキブリ」と揶揄されたが、デザイン性は高く評価された
  • 当時のライバル車(GT-R、スープラ等)と比較され、不人気というイメージが先行した
  • ツインターボモデルは高性能だが、エンジンルームの熱問題と整備のしにくさが弱点である
  • 中古車価格は数十万円の時代から、現在では150万円~300万円が中心価格帯となった
  • 購入時は整備履歴の確認やTバールーフの雨漏りなど、年式相応のチェックが必須である
  • 維持費は年間50万円以上が目安となり、予期せぬ高額な修理費も覚悟が必要である
  • ランボルギーニ・ディアブロにヘッドライトが採用された事実はデザインの完成度を証明している
  • Z32は「安い」クルマから、その価値が再評価された「価値ある」ネオクラシックカーへ変化した
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